ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 僕達の世界 ( No.1 )
日時: 2010/10/25 18:55
名前: クロウ ◆vBcX/EH4b2 (ID: PlVnsLDl)

桜の木が、風に揺れた。
小さな花弁が、ひらひらと地面に落ちて行く。
ひらひらと、一匹の蝶と一緒に、宙を舞う花弁を見ながら、望は目の前にある学校を眺める。

「これが、僕達の通う学校か……」

望はそう呟き、これから自分たちが通う中学校をしげしげと眺めた。
俺はそんな望を見て、望に聞こえないよう、小さく舌打ちをした。
今俺達がいるのは、尾花沢市にある中学校の入口の前だ。
駐車場には教師の車らしきものが止まっている。
自転車置き場には自転車はなく、生徒の姿も見えない。
俺達が一番に学校に着いたんだな。
遅刻しないように早く出たが、着くのが早すぎたか。

そう思いながら階段を上り、ドアを開け、玄関で靴を脱ぐ。
望も小走りでこちらへ来て、靴を脱いだ。
俺はその間に靴を下駄箱に入れて、内履きを吐く。
それを見て、望も慌てて靴を脱ぎ、下駄箱に入れる。
もたもたと内履きを吐く望の姿を見て、俺はため息をついた。

———全く、この兄は行動力はあるくせに、どうしてこういうときだけぼうっとしているんだか。
望は、俺の双子の兄だ。
望は前髪が長く、前髪を右に寄せていて、右目は見えない。
後ろ髪が短いのだが、前髪は長いという奇妙な容姿と性格のせいで、何度かいじめられたことがある。
俺は毎回、それをやめさせる。大切な、たった一人の兄を傷つける奴は———誰であろうと許さない。

望が上履きをはき終わったようなので、望と一緒に階段を上り、2階へと歩いて行く。
新品の上履きの音を聞いて、うれしそうな顔をする望。いつもより、足早に階段を上る。
俺はそんなただ望について行く。
階段を上り終えると、すぐ目の前に教室がある。
教室の入り口にある1年生、と書いてあるプレートを見て、望が教室に足を踏み入れる。
望は机の下を見て、自分の名前が書いてある紙が貼ってある机に、荷物を置いた。
俺も自分の席に荷物を置き、椅子に座った。

さて、この田舎の中学校での生活、どうやって楽しもうか。