ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神の能力者 ( No.17 )
- 日時: 2010/11/27 11:01
- 名前: メゾ (ID: rb3ZQ5pX)
第十話 「姉 セリア」
「大丈夫?すんごく疲れた顔してるけど」
ミュリが言った。コルルは答える元気すらない。
「何をやったらこうなるのかなあ?」
不思議そうに言う。トレアは疲れた顔一つしていない。「さあ?」と言う。
「ま、学校今日までだし、がんばろうよ」
笑顔でそう言い残すと、教室を出ていった。
「今日の練習はしないの?」
小声で言ってきた。コルルは首を横に振り、
「する」
というと、トレアは
「じゃあ、今日も付き合ってあげるよ」
と言って、自分の席に座った。
*
訓練所。剣の当たる音がする。
「昨日よりは良くなったね。だいぶパワーがついてる」
学校とは違い、真剣な顔でやっている。トレアは昨日と引き続き特殊能力を使っていない。
「じゃ、そろそろゲームしようか」
剣を動かすスピードを速めた。コルルも速める。しかし、トレアの方が速く、だんだん壁に近づいていく。
(このままじゃ終わる—)
そう思い、腕に力をいれた。そして、トレアの攻撃を受け返しはじめた。受け止め、攻撃。受け止め、攻撃。を何度もしていった。
「だめだよ。そんなんじゃ」
剣を振るのに夢中になっているスキに、トレアはコルルの首の前に剣先を向けていた。
「パワーは良くなったけど、今度はスピードが遅くなった」
しびれた腕を抑え、
「どんなやつが出るんだ?」
と聞いた。トレアはちらっと見ると
「中学生ぐらいの人も出るし、おじいちゃんみたいな人も出る。男も女も関係ない。この行事は人を殺すつもりで出る人が多いから。ま、殺したら捕まるけどね」
「ルールは?」
質問を続ける。
「簡単。相手に傷をつければ勝ち。№1になると、軍人になれるって言ったよね。そうやっていろいろ位が上がれる行事があるからがんばってね」
そう答えると
「今日はここまで。ココ、閉めるから」
と言った。コルルはしぶしぶ訓練所から出た。トレアも後から出て、ドアを閉めた。
*
朝—
トレアは夢を見ていた。リュランが生きていて、姉が元気に過ごしている夢。ここ最近、こういうのを多く見るようになっていた。
トレアの姉はセリア・エテリアル。生まれつき体が弱く、少し動いただけでもすごく体に負担がかかる。病気ではないようだが、全く治る気配がない。セリアはもう自分の部屋にこもりっぱなしになっていた。
クローゼットから服を出し、着替えた。そして、大広間に行く前に、セリアの部屋に向かった。
*
コンコン
ドアをノックする。セリアは起きていた。どうぞ、と声が聞こえてきた。ドアを開け、にこっと笑った。
「お姉さま。元気ですか?」
セリアはトレアが来ると、にっこり笑った。そして
「うん。あなたが来るのは久しぶりね」
と言った。車椅子を動かし、前まで来た。
「最近、だれかここに来たでしょう?」
「うるさかったですか?」
トレアはすまなさそうに言った。
「ううん。最近そういうのに敏感なの。どうしてかな」
外を見ながら言った。
「今リュランはどこにいるのかなー。早く会いたいなー」
それを聞いて、胸が苦しくなった。トレアやヴァニアは体の弱いセリアにショックをあたえるとまずいと思ったので、リュランは今、長い旅行に行っている、と嘘をついている。姉に嘘をつくことはつらいことだった。今でもリュランが生きていると考えている姉を見て、申し訳ない気持ちになった。
トレアは笑顔で
「まだ私、することがたくさんあるので、そろそろ戻りますね」
うん、とセリアはうなずいた。
「それじゃ」
部屋から出て行った。前にはコルルが立っていた。しばらく無言」でトレアを見た後、
「嘘ついてんのか?」
と口を開いた。うなずくと、聞きたいことはそれだけだ、というように前を通りすぎた。後ろから
「今日はするの?」
と聞いた。コルルは振りむかずに「する」と答えた。
*後書き*
どうも〜^^ 新キャラ登場です!!
まあ、登場人物紹介にはもともと書いていたんですけど、出すタイミングが分からずこの回に出すことになりました。
いや、トレアちゃんとコルル君のシーンはなんか気合いが入ります。なんででしょうかね?
個人的に好きからかもしれません。でも、どの場面でも、しっかり書けるようにがんばりたいと思います。
記念すべき第十話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
次回もよろしくお願いします。
メゾ