ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神の能力者 ( No.23 )
日時: 2010/11/17 20:21
名前: メゾ (ID: 4mXaqJWJ)

第十五話  「チャンス」

ソマリはコルルの胸ぐらをつかんだ。
「てめぇ、なに加減もせずに剣振りまわしてんだよ」
今までに見たことのない剣幕で言う。
「俺じゃねぇだろ。なんで斬った」
「ソマリ、やめなよ」
聞いていなかった。コルルはうつむいている。かっとなって拳を振り上げた。
パシッ
「やめなって言ってんじゃん」
トレアがその振り上げた拳をつかんだ。血のついた右手でつかんだため、拳に血がついた。その腕を下ろし、唇を咬んだ。
「休憩が終わったら、また二人で戦ってもらうから。でも、五分くらいたったら、ソマリはわざと負けること」
そう言い残し、フィールドから出て行った。残った二人はしばらくその場に立っていたが、コルルは先に出て行った。ソマリも睨みつけるのをやめ、そのあとに出て行った。

*

休憩が終わり、また決勝戦が始まった。ソマリは言われた通りに五分後にコルルの攻撃を受けた。プシャッと血が飛び散った。その瞬間、
ワァァァァァ
と会場が震えるような歓声が響いた。
表彰式。コルルは台にのって、片膝をついた。拳を胸に当てる。その前にバッチを持ったトレアが立っていた。音楽が流れ始める。バッチを渡し、コルルはそれを受け取った後、自分の剣を差し出した。剣を受け取ると、用意してあった豪華な剣と取り換えた。「koruru」と柄には彫ってある。にこっと笑って
「おめでとう」
と言いながら、その剣を渡した。下を向いて受け取る。ワァァと大きな歓声と、拍手がわき上がった。立ち上がり、一礼をした後、台を降りた。トレアの横に並ぶ。ヴァニアはふっと笑った。
閉会式が終わった後、トレアとコルルはソマリの部屋に向かっていた。
「おい、なんで俺も行くんだよ」
怒っている。それを見て
「だってあなた、私に傷つけたでしょう?そのお詫びと思ってついてきなよ」
腕には包帯が巻いてあった。コルルがつけた傷である。それを見て、何も言えなくなった。
「ソマリ〜。いる〜?」
ドアをノックしながら声をかけた。返事はない。
「おーい」
もう一度声をかける。コルルはイライラしていたのでついに
「おい、返事しないとこのドアぶち破るぞ」
と言った。するとドアの隙間から紙が出てきた。
「?」
手にとって見ると
『もう僕にかかわらないでください』
と書いてあった。トレアははぁ、とため息をつき、目と声色を変えた。
「エテリアル帝国第三皇女として命令します。このドアを開け、出てきなさい」
ガチャっとドアが開き、中からソマリが出てきた。
「あなたにはもう一度チャンスをあげる。三日後、私と戦いなさい。そして、一瞬でも特殊能力を私に使わせたら軍人に昇格させる。特殊能力は使って構わない」
そう言って、すぐに帰って行った。コルルは
「おまえ、もうこれから俺に『能力』について言わないでくれ。でないと…今日みたいになる」
「…君は皇女様に傷をつけて何にも思わないのか?」
ソマリは鬼のような形相で睨みつけながら言った。
「…俺はもう何人も傷つけてきた。特別なことは思わない」
後ろを向きながら悲しそうな顔で独り言のように言った。
「君は悪魔だ」
そう吐き捨てるように言い、部屋に戻って行った。
「悪魔…そうかもしれないな…」
そう言った声は聞こえないぐらい小さな声だった。




*後書き*
どうも!!コルル君のかっこいいシーンを書くことができて満足なメゾです。いや〜この回は入れるのに時間がかかりました。 疲れた〜
でも、実際、次回の方が長いです。うだうだですが、読んでいただけると幸いです。 はい。
いまだに敵キャラが出てこないというこの小説。もうすぐ出した方がいいのかなと迷いつつも毎日ストーリーを考えております。
まだまだ終わりは遠いのですが、がんばって書いていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。
第十五話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
              メゾ