ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神の能力者 ( No.24 )
日時: 2010/11/20 18:54
名前: メゾ (ID: 4mXaqJWJ)

第十六話  「真資料室」

「なぁ、トレア。ちょっと訓練所借りていいか?」
次の日の朝。コルルは軍事服を着て、コーヒーを飲んでいたトレアに聞いた。
「構わないけど。何をするの?」
「いや、新技の研究をしたいと思ったから」
すると鍵が投げられた。受け取るとコーヒーをすすりながら
「午前中だけ。午後は使用しないこと」
と言われた。あぁ、と頷き訓練所に向かった。トレアはコルルが完全に出て行ったのを見て、コーヒーをすべて飲み干した。そして最地下にある『真資料室』に入った。パスワードを入力すると、『真資料室』の重い扉が開いた。その中には、ホコリをかぶった大量の本が保管されていた。
目を特殊能力にし、その山を見回す。本の中に『特殊能力』と書いてある本が置いてあった。手に取り、ホコリをはらう。パラパラとページをめくり始めた。
この『真資料室』は最高位の貴族、軍人も知らない部屋。この部屋は、皇帝の血族しか知らない。しかも、血族と言っても正妻の子供ではないと知ることはできない。トレアは父、ヴィレア皇帝とその正妻であるリリアの間で生まれた。だから、この資料室について知ることができた。しかし、今やリリアはこの世にはいないため、この資料室について知っているのは皇帝、ヴァニア、トレアの三人だけなのである。
しばらくページをめくりながら、手を止めた。そして、「炎」の能力について書かれているページを食い入るように見た。そのページには始めて生まれた炎の能力者や、技のことが書かれていた。やがて見終わると、またパラパラめくり始めた。最後の方には「神の能力者・神の一部・神は世界を動かすことができる」と書かれていた。少しその方に目を向けた後、パタンと本を閉じた。ホコリが舞う。けほっけほっと咳をし、本を元の場所にもどした。
『真資料室』の扉を再びロックした。ふと視線を感じ、後ろを向いた。すると、一人の少女が立っていた。髪はオレンジ色で、目はピンク色。小学生に見える。いたって普通の女の子かと思ったが、目は大人のようだった。大きいのだが、するどく、心を閉ざしたように見える。
(なぜここに…?入れないはずなのに…)
この『真資料室』のセキュリティロックはかなり強力で、パスワードを知らないと入ることはできない。なお、ハッキングしようとすると逆に相手をハッキングするという優れ物だった。あやしくなり、少女に声をかけた。
「あなた、どこから入ってきたの?」
少女は何も答えず、フイっと後ろを向き、出て行った。
(不思議な子…。まさかハッキングなんてできないよね…)
そう自分に言い聞かせ、目をもどした。

*

ソマリは自分の部屋にこもり、ベットで寝ていた。昨日のトレアの入った言葉を思い出す。
『私と戦いなさい。一瞬でも私に特殊能力を使わせたら軍人に昇格させる。特殊能力は使って構わない』
(でも…、皇女様に傷は付けられない。でも…皇女様に勝たないと軍人になれない…。どうすればいいんだろう…)
ふと時計を見ると、一時になっていた。
(どうすれば…)
ずっと考えていると、眠気がおそってきて、ついに眠ってしまった。
「おい、ソマリ。おい!!聞いてんのか!!」
どんどんとドアを叩く音でソマリの目は覚めた。
「いつまで寝てんだよ!!もう六時だぞ!!つーかさっさとドア開けろ!!」
寝ぼけ、相手が誰だかも分からずにドアを開けた。コルルが入ってきて、寝ぼけていた目は一気に覚めた。
「おい!!なんで入ってきてんだよ!!」
大声で叫んだ。
「おまえが入れたんだろ?」
そう言い返され、黙ってしまった。コルルは椅子に座った。ソマリも渋々椅子に座る。
「なぁ、おまえ、特殊能力を使わずにトレアに勝とうとしてるだろ」
そう言われた瞬間、目が大きく開いた。「やっぱり」とつぶやく。
「はっきり言うぞ。無理だ。おそらく俺との練習の時、実力の一割も出していなかったはずだ。だが、軍人になれるかがかかっている以上、実力の一割ぐらい…、いや、本気でくるはずだ。トレアはすべての技に長けている。下手すりゃおまえ、死ぬぞ」
ソマリはむっとした顔で話しを聞いていた。しばらく二人は何も喋らなかった。やがてコルルが椅子から立ち上がり、
「まぁ、別に心配しているわけじゃねえし。貴重な時間を無駄にする奴は好かない。邪魔したな」
と言って部屋から出て行った。



*後書き*
すみません。途中で切ってしまいました。
ようやくトレアちゃんの本気が見れそうです。ですが、特殊能力は使わないので、五割程度のところでしょう。(どんだけ強いんだ、トレア…)
気づけばミュリちゃんがあまり出てきていません。
ネタばれなんですが、ミュリちゃんは、いずれ敵キャラにするつもりです。 はい。
またまた私の好きな女の子を出せそうです。楽しみだな〜^^
まあ、こんな感じですが、今後も「神の能力者」をよろしくお願い致します。
第十六話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
                メゾ