ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神の能力者 ( No.28 )
- 日時: 2010/12/05 16:34
- 名前: メゾ (ID: 4mXaqJWJ)
第二十話 「その名はナタリー」
「ようこそ、我が実験室へ!!」
ガチャッとドアを開けた。中は散らかってもいないし、そう大してきれいでもなかった。ただ、一つ目立つケージが置いてあった。
コトッ
メニィが三つカップをテーブルの上に置いた。その中に紅茶を注ぐ。二人は椅子に座った。メニィも座り、カップを手に取る。
「いいわね。トレア様に戦ってもらえて。ソマリ君…だっけ?」
「はい。でも、そんなにいいものなんですか?」
「もちろん。トレア様はとっても素晴らしい人なの。武術は完璧、それに美少女だし。文句なしの女の人よね。そんな人と話をすることができるなんて、すごいことなのよ」
ソマリはへえーと聞いていたが、コルルは紅茶を飲みながら、研究品を見ていた。メニィは話を続ける。
「あなた達の戦った様子はしっかり見せてもらったわ。すごかったわね。この実力なら将軍になれるんじゃない?今度は軍人同士の大会があるから出場してみたら?」
「将軍になると会議に参加できるんですよね?じゃあ、将軍が最高位なんですか?」
コルルが口を開いた。
「ううん。一番すごいのは親衛隊隊員。この部隊に入った人はトレア様の近くで戦うことが許される。すご腕の人じゃないと無理だけどね」
「じゃあ、将軍同士で戦うんですか?」
ソマリが聞いた。メニィは首を横に振り、
「ううん。トレア様と戦うの」
「ええ?!」
二人は同時に言った。くすっと笑うと
「おもしろいわね。今の将軍の人たち、みんなトレア様と戦ったの。でも、十秒ぐらいで決着は着いた。だから、誰も隊員にはなれなかったの。今、親衛隊がないのはそういうことだからなのよ」
「へえー」
しばらく三人で色々なことを話した。ソマリはずっと疑問に思っていたことを聞いた。
「あの、さっき女の子が会議に出ていたんですけど、あの子はなんなんですか?」
「あの子?」
「えっと、髪を二つ上で束ねてて、ずっと携帯をいじくっていた…」
「ああ!!ナタリーのことね。あの子は『天才』なのよ」
「『天才』?」
コルルが敏感に反応した。
「うん。名前はナタリー・シフォレット。十二歳。義務教育の期間なんだけど、『天才』だからもう大学ぐらいの知識はもうもっているのよ」
「じゃあ、今は将軍なんですか?」
「うーん。微妙なところかな?去年の大会で優勝。今はその知識を生かして、第一作戦部隊長」
「両親はどういう人なんですか?」
そう言うと、メニィは悲しそうに目を伏せた。ソマリは慌てて
「すっ、すいません!!何かきに触ることを…」
と、謝った。
「いいの。彼女の両親は今はいないの」
首を振り、そう小さく言った。
「七年前、彼女の生まれた村は消滅した。跡形もなく、証拠も何もない。ただその村のあったであろう所にナタリーは倒れていた」
「村が消えた…?ワープ?」
「違う。大きな光が村を包んで人、家をすべて消していったの。科学班は色々調査してみたけれど、何もなかった」
「あの…」
ソマリがおずおずと声を出した。
「こんなこと言っていいのか分からないんですけど…。彼女が村を消した…ということは考えられませんか?」
メニィの目が大きく見開く。コルルはすぐに叫んだ。
「バカ!!んなわけ…」
言い終わる前に少女——ナタリーが現れた。ぴたっと空気が変わる。彼女はじっとソマリを見ると、
「……出てって……」
と小声で言った。二人が動けずにいると
シャキンッ
と剣が突き付けられた。冷酷な目がますます険しくなる。コルルが
「帰るぞ」
と言った。ソマリは慌てて部屋から出て行った。残されたコルルは
「すいませんでした」
とメニィとナタリーに謝り、出て行った。
*後書き*
どうも〜 長いですね。すいません^^
最近いいことがなくてですね、つまらないんですよね
さあ、もうすぐ山場です。がんばって書くのでよろしくお願いしますね!!
まあ、相変わらず後書きは短いのですが。次回予告みたいなものをしたいと思います。
次回は「月の騎士」からスタートです。よろしくお願いします。
第二十話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
メゾ