ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神の能力者 ( No.33 )
日時: 2010/12/09 20:35
名前: メゾ (ID: 4mXaqJWJ)

第二十四話  「涙」

「へえー。あなたもここの生徒だったんだ」
特殊能力のまま、風を浴びている少女に話しかけた。すると
パンッ パンッ
ナタリーは発砲した。トレアはいたって普通に弾をよける。彼女の動体視力の前では、幼稚園生がボールを投げたのと同じくらいだった。
バタンッ
屋上の扉が開く。コルルとソマリが出てきた。ナタリーの撃った弾が二人の方にとんでいく。
「よけて!!」
とっさに叫ぶと
「うわっ」 「っと」
彼らも気づいてギリギリよけた。ソマリが特殊能力を使い、氷の柱を出して弾をしのいでいた。トレアはというと、目にも止まらぬ速さでナタリーの上を跳び越え、背後からがしっと手首をつかんだ。
「っ」
小さく悲鳴を上げる。カシャンと銃が落ちた。コルルはすぐにその銃を拾い上げた。それを見て、トレアはつかんでいた手を放した。そして、目線を彼女に合わせる。
「苛めるつもりはないの。ただ、その知恵を生かしすぎてはいけないって言いたいの」
「あなた、『真資料室』のセキュリティにハッキングしたでしょう」
「…………」
何も答えない。二人は『真資料室』という言葉の方に疑問を持っていた。そんな彼らを差し置いて、トレアは話を続ける。
「あなたを殺すつもりはない。むしろ居てほしい。その天才と呼ばれるほどの知恵は必要だもの」
そしてしばらく話をするのをやめた。口をやっと開いたかと思うと、思いもよらない言葉を発した。
「ナタリー。あなたは『無』の特殊能力者、だよね?」
「………は?」
コルルが意味分からないという表情でトレアを見る。ナタリーは少し驚いた顔をした。
「……………うん」
消えそうな声で言った。ふっと笑い、
「正直に言ってくれてありがとう」
と、礼を言った。そして、ポケットから一枚の紙を出し、うつむいている彼女の手の中に入れ、ぎゅっとにぎらせた。くるっと向きを変え、
「帰ろう。もうすぐ昼休み終わっちゃうよ」
と、コルルとソマリに言った。
「あ…ああ」 「うん」
そして、後ろの方に向かって
「返事よろしく」
と言った。ナタリーは少しだけ、ほんの少しだけ泣いた。
それは、八年ぶりの涙だった。

*

ミュリはあるビルの地下二階に来ていた。
『明日、一時に○○ビルの地下二階に来い』
この内容が書かれた手紙を昨日見つけた。少し興味があり、遊び半分で中に入った。しかし、中は真っ暗く、何もなかった。
「なんなのぉ?あー。もう時間ないや」
帰ろうとすると、パチン、と手を叩く音がした。
「ようこそ。ミュリ・アーバン」
青年の声が響く。
「だ…誰?なぜ私の名前を知ってるの?」
好奇心が恐怖に変わり始める。逃げようとしても足が動かなかった。青年はふふふふ…と不気味に笑い、
「君を殺そうとは思ってないよ。ただ、明日、君の親友をよく見ておいてほしい、ということをお願いしたいだけだ」
「親…友?」
もしかしてクロア?と聞こうと思ったが、やめた。もう声を出すのさえきつくなっていた。
「僕の名前は月の騎士。明日、よろしくね」
月の騎士——?マリョ君を殺した犯人がここに?なぜ自分に?わずか一秒の間に疑問が山ほど出てきた。
はっとすると、もう月の騎士の姿はなく、真っ暗だった部屋には光が差し込んでいた。



*後書き*
どうも、こんばんわ。メゾです。昨日のランキングの続きを書いてもいいですか??
【第五位】 セリアちゃん
     (おとなしいところが好きです)
【第六位】 リュラン君
     (優しいところがすきですね)
【第七位】 ソマリ君
     (変わりようがうけます)
【第八位】 月の騎士君
     (敵キャラなのに何故か好きですね)
【第九位】 ミュリちゃん
     (優しく、強い子です)
【第十位】 ヴァニア君
     (あんまり出てこないのでかわいそう…)
はい、これまでです。見てくれて、ありがとうございました。 はい。
次回はエンジンがかかります。どうぞお楽しみに。
第二十四話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
              メゾ