ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神の能力者 ( No.39 )
日時: 2010/12/13 14:20
名前: メゾ (ID: oBSlWdE9)

第二十七話  「不思議なユオ」

                ・・・・
「ようやく気付いたのか馬鹿だね。オリビア」
独り言をつぶやく。ミュリの顔は青ざめていた。すると、二人の前にふわっと天から舞い降りたようにトレアそっくりの少女が現れた。
「ク…ロア?」
驚くミュリをほうって
「邪魔するなよ。ユオ」
と、月の騎士はイライラが混じった声で言う。ユオ?誰?と言った表情で両方の顔を見る。彼女は
「あら。私にそんな言葉を使っていいのかしら?」
ふっと笑い、睨みつける。今度は月の騎士が
「なあ、ここで時間を食っているヒマはないんだよ。通してくれ」
と、強く言った。ユオはひるみもせず、
「いつでもあなたなんて切ってもいいんだよ?ただ、特殊能力者だからってことなんだよ。私が切れば、あなたなんてごく普通の人」
と、脅すように言った。トレアそっくりの声。しかし、言っている内容は意味不明だった。月の騎士の顔色が変わる。
「それだけはやめてくれ」
ひがむように言う。ユオは髪を揺らし、
「邪魔する気はないよ。でも、普通の人を巻き込むのはやめて」
と言った。そして、またふわっと姿を消した。月の騎士は
「無理な話だ」
とつぶやいた。

*

『次の作戦 テロリストの捕獲』
コルルからのメール。ナタリーはすぐに削除し、目の前にいる人の山を見た。山になっている人は皆手、足をロープでしばられていた。口には猿ぐつわがされている。これはすべて、彼女一人でしたのだ。
『作戦完了 二階すべて捕獲』
と、すばやくメールを打ち、トレアに送った。しばらくすると、ピリリ、と返信が来た。
『ありがとう 助かったよ』
短かった。いつもならメールはすぐに削除するはずだったが、このメールは保存した。なぜか嬉しかったのである。
「………………トレア」
小さくつぶやいた。またメールが来る。コルルから。
『悪い。こっち方、手伝ってくれないか?』
すぐに削除。ナタリーはたっと走り出した。

*

「これって…。一般人?」
ロープで縛り終わった黒服のテロリストを見ながらソマリは言った。テロリストの仮面を外すと、トレアの部屋で見た「エテリアル帝国住民」の中にある顔がちらちらあった。
『作戦完了 三階すべて捕獲』
しばらく間をおいて、また文を打った。
『テロリストは一般人じゃないか?』
トレアに送り、パタンと閉じた。返信は来なかった。



*後書き*
いつもより短くかきましたー。
なかなかユオちゃんと月の騎士君の言い合いを書くのがおもしろかったです。
次回もユオちゃんが一番に出てきます。そして、ついにこの回でのクライマックス(?)を迎えます!!
色々入り組んでて、読みにくいとは思うのですが、次回も読んでいただけると光栄です^^
第二十七話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
              メゾ