ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 神の能力者 ( No.41 )
- 日時: 2010/12/16 20:38
- 名前: メゾ (ID: dSN9v.nR)
第二十九話 「操の能力」
「ね。君の親友は嘘つきなんだよ」
月の騎士が耳元で囁いた。トレアは銃を向ける。
「お前…。ふざけるのもいいかげんにしろよ…」
怒りにより、声が震えていた。月の騎士は前髪をかきあげる。目が見えるようになった。藍色の目。「操」の特殊能力だった。
「それで一般人を使ってテロを起こしたか…」
ふふっと彼は笑った。目が鋭く光る。
「ミュリに何をしたの?」
「何もしていない。ただ、君が嘘つきだということを教えてあげただけだよ」
トレアがミュリに視線を移す。彼女は震えていた。
「僕は何もしない。ほら、お友達に教えてあげたら?」
月の騎士はすっと離れた。警戒しながらも近づいていく。
バンッ
放送室のドアが勢いよく開く。コルル、ソマリ、ナタリーが息を切らしながら中に入ってきた。
「トレア…」
はっとコルルが中を見ると、ミュリに近づいているところだった。
(しまった…)
そう思っていると、トレアが手を伸ばした。震えている彼女の肩をつかもうとする。
パンッ
「触らないで!!」
手を振り払い、叫んだ。ミュリは泣いていた。茶色の瞳が歪む。
「ひどい…。ひどいよ…。友達だって…。親友だって思っていたのに…」
声が震えている。トレアはおろおろして立ち尽くしている。月の騎士は笑っていた。ナタリーは彼につかつかと歩み寄り、銃を向けた。
「おやおや。殺人鬼さん。また罪を重ねる気かな?」
彼はひるみもせずに、ニヤリと笑った。向けられている銃の先を握り、自分の頭に当てる。
「僕はね、君の殺した村人の中に、一人生き延びた人がいてね。その人と知り合いなんだよ」
ナタリーの顔色が変わった。コルルとソマリの顔色も変わった。そのスキを見て、月の騎士は「操」の特殊能力を使った。
「ナタリー!!」
二人は叫んだ。ミュリとトレアには聞こえていなかった。
*
辺りは静まりかえる。ナタリーは「操」の能力にはかかっていなかった。
「え…?」
見ると、かかっていたのは
「ミュリ…?」
彼女は肩をがっくりと落とし、笑っていた。顔を上げると涙により、髪が顔にくっつき、不敵に口を歪ませている。
「ねぇ、トレア。あなたにとって私は何?」
生きる気力を無くしたかのように、目はとろんとしている。その目は茶色ではなく、「操」の能力により、藍色だった。
*後書き*
目がチカチカします〜
ということで、今回の後書きはここら辺にしときたいとおもいます〜^^
ではでは(‘‘)
第二十九話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
メゾ