ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神の能力者 ( No.42 )
日時: 2010/12/18 19:15
名前: メゾ (ID: dSN9v.nR)

第三十話  「さよなら」

「ねえ、答えてよ。トレア様。ねえ?」
「あなたは私の大切な友達だよ。親友だよ?」
真剣に言った。すると、彼女はいきなり笑いだした。
「あははははははは。あなた本当に嘘つきね。そんなこと一つも思っていないくせに。あはははは。あー。面白い。笑わせないでよ」
腹を抱えてトレアの方を見るミュリ。コルルとソマリは信じられないという表情で彼女を見る。
「あははは。そうだ…」
無邪気な子供のように、ナタリーの方に近づいて行く。ガッと手首をつかみ、笑う。
「ねえ。貸してくれない?これでぇ、最低な皇女様を殺すからさー」
銃を奪おうとする。ナタリーは痛みで顔をゆがめ、暴れている。
「やめろ!!ミュリ!!」
ソマリが銃を奪おうとする彼女の肩をつかむ。するといきなり、ガッと蹴られた。
「っ…」
頭を壁でぶつけ、痛みにより、唸る。月の騎士が蹴ったのである。
「よけいなことするなよ。せっかくの計画が台無しになるだろ?」
また蹴る音が聞こえてくる。ガッ、ガッと鈍い音がする。
「う…。がっ…。つぅ…」
蹴られる音に合わせて声が聞こえる。耐えきれず、
「やめろ。撃つぞ」
後ろから銃を向けるコルル。その刹那

カァァァァァン

と、大きな音がした。辺りが白い光に包まれる。ミュリの悲鳴があがる。
「……さわらないで」
と小さな声がしたかと思うと、光はふっと消えた。
見ると、ナタリーから出ていた。掴まれた手首は引っ掻かれ、赤く、蚯蚓腫れになっている。しかし、しっかりと銃はしっかりと握っていた。彼女はじっとミュリを睨んでいた。
「あは。やーめた。ねえ、トレア様。死んでぇ」
ナタリーから放れ、素手でトレアに走って近づいてくる。向かってこられる方にとってはその動きはスローモーションだったが、
ガッ
腕の動きが異常に早く、よける間もなく首をつかまれた。キリキリと、締め付ける音がする。
「かはっ…。ぐ…」
声を絞り出す。が、全く声にならなかった。自分の首をつかんでいる腕を放そうとするが、力が入らない。
このまま自分は死ぬのか———。
そう思い、目を閉じた瞬間、
「そこまでにしておこうか。オリビアを殺すのは僕だ」
この声がかかった。それがまるでスイッチかのように、ミュリは手をぱっと放した。
「げほっ。げほっ。くぅ…」
一気に空気が入ってきた。あと十秒ぐらい掴まれていたら、間違いなく死んでいた。コルルが近づいてきて、
「大丈夫か?!」
と言った。大丈夫、と小声で言い、顔を上げた。
「ミュ…。ミュリ…を…かえ…せ…。げほっ」
途切れ途切れに言葉を発した。月の騎士は
「はは。返す?彼女は今や、君の敵だよ?」
と言って笑った。
そして、パチンと指を鳴らすと、ミュリが操り人形の糸が切れたようにガクン、と倒れた。月の騎士はそのまま部屋を出て行った。
四人はヴァニアに報告するため、学園を後にした。



*後書き*
どうもです〜(^^) もうすぐ冬休みなんです。
たんのしみ〜★ 
話は変わりますが、私、小説はノートに書いているんですよ。そのノートがなんと、二冊目に入ったんです。
私、致命的な三日坊主で、あきやすいんですが、なんかこの小説はあきないんですよ。
次回はユオちゃんが出てきます。どうぞ見てください。
第三十話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
               メゾ