ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 神の能力者 ( No.46 )
日時: 2010/12/24 14:14
名前: メゾ (ID: dSN9v.nR)

第三十四話  「貴族」

トレアの部屋。四人がそれぞれ椅子に座っている。コルル、ソマリ、ナタリー。
「ミュリと月の騎士についての報告」
パソコンを眺めながらぶすくれた顔で言った。その画面にはその少女の画像が映っている。
「あれからの行動記録。あの事件から一度も家に帰っていないみたい。それに、目撃情報。両目の色が違っている。片目は藍色。片目は茶色」
「両目の色が違う?」
「ミュリは両目とも茶色だったよな?」
二人が質問する。ナタリーはその様子を見て、ピッ、と携帯のボタンを押した。他の三人のパソコンに画像が送られる。それは、両目の色が違う少女の写真だった。コルルとソマリは、はぁー?という顔をし、あんぐりと口を開けた。
「これは、『操』の能力が半分かかった状態。普通なら、両目とも同じ色になる。そうなると、意識まで操られるからほぼ何も喋らないし、行動も最低限しかしない。けど——」
少し間をおいてからトレアは言った。
「このように、片目の色を残しておくと意識までは操られない。けど、命令をすれば必ず動くし、潜在能力は高まったままの状態」
「えっと…?それはつまり…?」
ソマリが訳分からないというように聞いた。
「彼女は私たちと同じ、人間を超えた存在になっているってこと」
特殊能力者と同じ、という言葉を聞いた途端、しーんと皆黙った。
しばらくの間、黙っていたが、ピリリ、という音でその沈黙はやぶられた。
ナタリーの携帯だった。彼女はピッピとボタンを器用に押し、画面を見た後、つぶやいた。
「…………明日、高等部に転校生」
「転校生?」
コルルがまた?という表情でナタリーに言った。すると彼女は画面を他の三人につきだしてきた。
何かのサイトの書きこみ。それには、こう書かれていた。
『明日、私、エジュネリート学園の高等部に転入するんです。楽しみなんですよ。友達がたくさんできるように頑張ります!!』
「ふーん。いたって普通の女の子だね」
ジュースを飲みながら言った。トレアもコルルもドサッともう一度椅子に座りなおした。ナタリーは携帯をいじり始める。
またピッピ、という音しか聞こえなくなった。コルルとソマリは机に教科書やノートを広げ始め、トレアに質問をし始めた。
二人は初めて高校に通い、始めて勉強というものをした。そのため、訓練とこういう報告会の時以外はほとんど勉強に費やし、少しでもついていけるようにしようとした。聞くときはたいていトレアで、ナタリーが現れると、かってに彼女が自分らの宿題をしてくれる、ということで宿題はすませていた。
しかし、トレアも皇女なので、あまりヒマではない。なので、こういう時にしか質問することができないのである。
少しの間、ワアワアしていたが、ナタリーが急にトレアのパソコンを触りだした。
「えっ?ちょっ、ナタリー?!」
慌てて止めようとするが、彼女はキーボードを叩き始めた。物凄いスピードで画面に文字が並ぶ。やがて一人の少女の写真が映った。
その写真が出てくると、ナタリーは打つのをやめた。





*後書き*
すいません。物凄く長くなったので、ここできりたいと思います。
次回はこの続きなので、短いです。
やっとトレアちゃんが出てきてくれました。
ですが、次回のその次にまた死怨、魔鬼、月の騎士が出てきます。
ごめんなさい。このシーンはどうしても入れたくて…。
また新キャラ登場です。このキャラが落ち着いたら、また可愛いキャラを出したいと思っています。
第三十四話、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
                    メゾ