ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 非道で純粋な恋 ( No.3 )
- 日時: 2010/10/25 21:45
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です
序章
「……汚ぇ」
顔がベタベタしていて気持ち悪い。手も、足も、服も、髪も、とにかくベタベタしていた。
……けれどそれは汗やら涙やらそう言う物で汚れていたとかそう言う事では何一つ無い。
いや、汚れていると言う点では変わりは無いが何で汚れているのか、それが大きな問題点だ。
「あいつとは比べ物にならない」
紅く、そして濃く、そしてべっとりとした———“血”。今の俺は、血で汚れている。
俺だけでなく畳にも血が染み込んでいて赤色の畳へと変貌しかけていた。
そして畳の上には俺が作った光景。
あ い つ の 妹 の 死 体 が 転 が っ て い た 。
刃でズタズタにされて人間と描写するより肉片と描写した方があっていそうな状態。
およそ人の形なんてして居ない。獣に食い尽くされた後の様な無残な光景だった。
その光景を作った俺でさえ、無残だと言う事が良く分かる。
「……俺は」
そっと呟く。そしてふと頭によぎるのは———あいつの笑顔。そう、あいつの、全て。
これまでずっとあいつに近寄る屑は消そうと努力していたけど、遂にそれが成功した気がする。
純粋に何かを切る事が楽しかったのかもしれない。
けれど、もうそんな事何もかもがどうでも良い。
心の中は色々な感情が乱れてぐちゃぐちゃだった。
まるで、自分で作り上げた光景の様に。
「……悪く、ない」
俺は悪くない。そう、そうだ。きっとそうなんだ。
その言葉で自分の中で何かの枷が解き放たれる気がした。一気に心が軽くなってゆく気がした。
そう、俺は悪くない。悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない悪くない……
今までやって来た事だって、全てあいつの為。
……きっと、そうなんだ。
「俺は悪くない俺は悪くない……」
そう、だからもう良い。……そうだよな?
俺は悪くない。なのに、それなのに。どうしてなんだ?
目から溢れる何かが、止まらない。
痛む心が抑えられない。
俺は、悪く、ないんだよな……?