ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 非道で純粋な恋 ( No.14 )
- 日時: 2010/11/05 22:21
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です
03
それから早くも二年が過ぎて私は高校一年生。陶華と同じ高校を受験してもう既に11月と生活も慣れてきた。
けれど、それでもいつだってあの事件は忘れない。……未だに人を信頼出来ないのだ。
「真理……大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込む陶華にハッと気付いて私は平気、と首を振った。尤も平気じゃなかったけど。
今気付いたけれど此処は電車の中だった。さっきからずっとその事を思い出してボーッとしていたのだ。
この事を思い出す時は顔が怖くなるらしく、良く陶華に心配されている。まぁ、酷いけど自覚は全く無い。
多分自然とこうなっているんだろうと納得している。
「平気だよ、全然……大丈夫」
私は何とか口角を上げて陶華に微笑んで見せると陶華はホッとした風に安心した表情を見せる。
……良かった、安心してくれて。私も私でホッとしつつまた陶華と話を始めた。
とりあえず、今日は帰りにミルクカフェオレを買おう。とか勝手に心に決めていた。
ガタン……ゴトン……
規則正しい電車の音を聞き流しつつ私達は椅子に座りながら話していた。駅が遠いので結構待つ。
その間は絶好の話時間と言う訳だ。
(……由理)
思い出しちゃいけないと、何かが警告していた。
けれどそれでも脳裏には勝手にあの映像が流れる。血まみれで、床に横たわっている…………
「ッ…………」
陶華にバレない様に、小さく私は呻いた。気持ち悪い、吐きそうな体調の嫌悪感が私を襲う。
あの事件以来、あの映像を思い出すといつもこうなる。そしてこれはいつも慣れないのだ。
生々しい哀しみや苦しみが一気に押し寄せてくるかの様な何かに襲われる感触がする。
そして此処でいつも映像は途切れるのだ。今日もまた、其処で映像は途切れた。
(あぁ、良かった……)
嫌悪感が止まった事にホッとしつつ私は顔を上げた。気分は良いと言う訳ではなかったがさっきよりは良い。つまり、回復していた。
……はぁ、と小さく息を話しながら陶華の話に頷く。
「ねぇ、真理さ……知ってる?」
「…………何を?」
すると突然陶華は辺りをキョロキョロと見回しながら決心した風に私に話しかけた。
何事か、と私は思ったがとりあえず陶華が真面目そうな表情をしていたのでとりあえず聞いてみる。
陶華はもう一回辺りを見回してから口を開いた。
と、同時に。
———キャアアアアアアアアアアアアアアアア!!
何処からか甲高い悲鳴が聞こえて、会話が中断された。