ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 非道で純粋な恋 ( No.26 )
- 日時: 2010/11/02 23:15
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です
05
「へぇ〜……でも、ギリギリ間に合って良かったね」
いつもより迫力おろか空気さえ違う気がした登校を終え、私達は学校へと着き教室へ入った。
ギリギリまだ朝の時間で遅刻扱いにならなくて済んだけど、一部始終を聞かれて現在話してみた。
ちなみに彼女は黒崎沙織。陶華と同じ中学校の頃からの付き合いで、かなり仲良し。
まぁ、その何と言うか変っている人と言うか(私もよく変わっているとは言われるけど)不思議な奴。
「へぇ〜ってさ、結構大変だったんだよ。陶華から変な事聞いちゃったし」
「変な事じゃないって! 真理酷いなぁー」
陶華が私をペチペチと叩いてきたのでよけながらクスクス笑った。陶華の反応が妙に面白いので。
今はこんな笑ってられるけど、いや実は笑っていられない気がした。実際かなり恐れている。
……もし、本当に先輩が殺人鬼なのだとしたら。考えたくないと言う私情を抑えられない。
「……あれ、真理知らなかったの? 結構前にも乗ってるんだよ、脱獄殺人鬼」
シィン…………私と陶華、二人の空気が一気に冷たくなった。いや、動揺し始めていた。
今日は何回不思議な出来事があれば気が済むのか、何かに思わず問いたくなる。
山瀬先輩の殺人鬼の噂はどうやら本当らしい。……何しろ妙にニュースに詳しい沙織が言うのだから。
「へぇ……って、あれ? 真理〜?」
焦りながら横を振り向いた陶華はえっ?と驚いた顔をする。すぐ横に居た私が居なくなっていたからだ。
私は後ろを向いた陶華に手を振りながら「気分転換」と言って教室を出る。実際は気分転換出来そうにも無い。あまりにも、突然過ぎる事ばかりで意味不明だ。
……頭を冷やしたいと言うべきだったのかも知れない。私は1人そんな事を思いつつ屋上へと向かう。
屋上の鍵は無用心にも開いていて私は迷う事無く扉を開けて屋上へと入った。
「寒っ」
流石11月。寒い風が私の頬を掠り髪を少し浮かした。
確かに頭を冷やすと言う表現は別の意味であっていたのかもしれない、と考える。
(……どうしてこうなっちゃったんだろう)
何かの歯車は何処で狂い始めたのか。何故先輩が(恐らくだけど)脱獄して殺人鬼になっているのか。
ひょっとすれば陶華だって沙織だって私だって殺されてしまうかもしれない…………無い事を願うけど。
考えても分からない。それは分かっていたけれど私はまだ考え続けていた。