ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 非道で純粋な恋 ( No.30 )
日時: 2010/11/03 09:11
名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です

06

とりあえず、状況を整理してみよう。私の妹は2年前に殺されていて、丁度今日はそれから2年経った日。
その日は陶華と変わりなく……いや、過去の事を思い出しつつも一応普通に電車に乗った。
一同映像がフラッシュバックしたけれどこれは時々あるので別になんら変わりは無いと思う。
そして陶華が何かを話そうとしたら悲鳴が聞こえて、悲鳴の元へと行ったらそこで少女が死んでいた。
陶華は少女の死んでいる事と今朝知った事実を私に話した。事実は要約すると山瀬先輩が脱獄して殺人事件を起こしていると言う事になる。
そして学校へ着くと沙織もそれを知っていた。
……じゃあ何故先輩はわざわざ脱獄してまで殺人事件を起こしているのか? それが妙に気になった。

一番考えられる説は私を殺すことなのだろうか。


「はぁ…………」

自分でも思う。私はおかしいくらいに冷静だった。いつもなら多少取り乱すかもしれないのに今日は違う。
さっきの自分すら少々恐れていたと言うのに、いざ考えてみると本を読むかのようにあっさりと考えた。
おかしい、今日の自分は何かがおかしい。そんな気さえしてきた。
……けれどこの事は誰にも話せないと言うかどう話せば良いのかが全く持って分からない。
とりあえず、自分の中で保留しておこう。そう思いくるりと後ろを振り返り教室へと戻ろうとした。

「何が怖いんでしょうか? 貴方は」

ふと後ろから声がしてびっくりしてもう一度屋上の方へと振り向くとそこにはさっきは見えない人が居た。
先客か、と私はちょっと安心して息を吐くとその人は微笑みながら私の方へと近づいてくる。
そして風が吹く度に彼の地毛らしい綺麗な金色の髪の毛がふわりと揺れていた。

「……あぁ、名を名乗り忘れましたね。私の名はシュトラルト。シュトラルト・サーヴァントです」

やっぱり外人だったのか。私は一人勝手に納得しているとシュトラルトと名乗る人物は手を差し出した。
握手しろ、と言う事? 疑問に思いつつも私も手を差し伸べると手を掴んで握手した。

「!!」

そしてそれと同時に驚きの余り悲鳴が出そうになる。シュトラルトはそんな様子の私に気付いて苦笑した。
そして手を離すとこの通り、と言う風に肩をすくめる。

「お気づきましたか? そう、私は死んでるんです……幽霊とでも言うべきか一応人には見えますが」

そう、彼の手は氷とでも言わんばかりに冷たく人間の体温などを軽く下回っている様な冷たさだった。
と言うか何を言ってるんだこいつは? 私は失礼ながらも彼をまじまじと見てみる。
一応日本のハーフなのか白い肌でこそ合ったが顔は日本風で目が黒く何となく日本人ぽい感じがした。
いや、今はそんな事どうでも良いけれどとにかく言える事は彼の目は悲しい感じがしたと言うか感覚的と言うか勘と言うか……何処か嘘を着いている感じはしない。と言うかこんな嘘を着いてどうするのか。

「そうですか……それで、何か用件があるとでも?」

私はとりあえず信じるの意味で肯定しておき、頷く。そして彼がこうまでして私に幽霊だと言う事を教えた理由をさり気なく聞き出してみる。
彼は幸いです、とまたにっこり微笑んだ。そして用件は? と聞かれた時にちょっと俯いた。
悪い事を聞いてしまったのか……私がちょっと困っていると彼はそれに気付いたのか顔をあげて苦笑する。
どうやら、話すのにちょっと苦労する内容らしい。






「大変申し上げにくい用件なのですが……私を蘇らせて欲しいのです」