ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 非道で純粋な恋 ( No.31 )
- 日時: 2010/11/03 14:26
- 名前: 浅葱 ◆jnintUZIrM (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://PCが変わったので名前も変えてみました← 十六夜です
07
「貴方を、蘇らせる……?」
そうです、と頷く彼をよそに私はまたも思考を巡らす。……幽霊(死んでいる)彼を、どうやって?
一応頼みは承諾したいものだったがそれが出来ると保障が出来ない。私は返事に少し戸惑う。
彼は黙りながら、返事をひたすら待っていた。その目は何処か真剣そうで何処か哀しそうなものだ。
つまり話を聞いた以上、返事は一つしかないと言う事か。私は一人そう思い溜息を着く。
「出来るかは分かりませんけど……良いですよ」
そう言うと彼の顔は一気に嬉しそうな表情になり目が明るくなった。表情が顔に出やすいらしい。
そして私の手を握ると嬉しそうに何度も「ありがとうございます」と言っていた。
そこまで感謝されるとは思わなく私は少し焦ったが嬉しくない訳は無く彼につられて微笑んでみせる。
悩みが何処かへ飛んで行った気さえした。
「じゃあ、授業に出ましょう。クラス同じですしね」
……あれ、そうだったっけ。一人(色々な意味で)場違いな事を考えつつも私は彼と共に屋上から出る。
まぁ、とりあえず出来るかは分からないけれど出来ないかも分からないし良いか。私は溜息を着く。
多分、考え過ぎなんだろう……今日の事も。
「……何を考えすぎているんですか?」
「えっ?」
突然不思議そうな顔でこちらを見る彼に私は素っ頓狂な声を上げる。どうやら最後の言葉が口に出た様だ。
一瞬言ってしまおうかと思ったが喉でまた突っかかったので「何でも無いです」と答えておいた。
あまり口に出さない様に気をつけよう、そう勝手に決心しつつ。
急いで教室に向かいもう席に着いていた陶華に謝りながら私も自分の席に座る。
と言うか本当に彼もこのクラスの人で私の右斜め前、つまり陶華の隣の席に座っていた。
(…………あれ?)
朝読書と言う朝各自本を持ってきて読む週間がこの学校にあり私は本を読みつつ窓に目をやる。
外は雲ひとつ無い晴天は変わらず太陽ももう昇っていて何処から見てもとても平和な光景だった。
けれど、ふと学校から見える街の方へ目をやると不思議な物が見える。
…………こんな時期に、蝶?
黒色のカラスアゲハがふよふよと飛んでいた。寒い時期に、随分おかしな光景でもある。
まぁ、良いか……と私はまた読書に没頭し始めた。
とりあえず、これからどうするか考えないとな……と思いつつ。
第一話「あれから二年後」 終