PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 血まみれ人形ごっこ(オリキャラ募集中!) ( No.19 )
- 日時: 2010/10/30 11:13
- 名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: OPVNjM8g)
参ノ章「人形ノ館」
ギィ……と扉が開いて、暗闇の部屋に光が差す。
「……誰?」
「僕だよ。お姉さん」
「……もう私の名前は聞いたでしょう? いいわよ“イヴ”で」
「じゃあ、イヴさん。何してるの?」
「柩の修理と新しい双子人形を造っているの」
棚には、小さな手足や、ビー玉のように綺麗な目玉、髪の毛になる素材が置いてあった。
「……すごく綺麗」
「本当? 私の部屋を綺麗って言う人、貴方が初めて」
「ねぇ、お人形、抱っこしてもいい?」
「いいわよ。これ、双子人形の姉の方。ぜんまいを巻いてあげて」
「わかった」
キリキリと音を立てて、ぜんまいを巻く。
ギッ、ギギッ……と音がして、首が動き、瞳が開く。
「触れるな! 下衆野郎! ですっ!!」
バシッと小さな手で、平手打ちされる。
「痛っ……!?」
プクリとむくれた人形が目の前にいて、その人形に平手打ちされたことを理解する。
「まぁ、随分と気性が荒い子ね……」
人形と向き合いながら、今までのやり取りを理解する。
「ご主人様ぁ〜! あのチビがレディーの身体を勝手に触れ回すですぅ!」
「チビって……。僕、170はあるんだけど……」
「黙れです!」
「……」
人形って、人間より強いんだ……。
「ご主人様ぁ、早く妹に会いたいですぅ♪」
「ふふっ、じゃあ、お姉ちゃんがぜんまいを巻いてあげなさい」
「はいです!」
“妹”と呼ばれる存在を手に取り、ぜんまいを巻く。
「……」
あの、自分の名前を知られただけで、自分の名前を教えた人形……。柩を殺した人とは思えない。
あの毒舌人形を見る表情は、慈悲深いものだった。
「んっ……」
双子人形の妹が目覚めた。
PR