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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 血まみれ人形ごっこ(オリキャラ募集中!) ( No.30 )
- 日時: 2010/10/31 16:27
- 名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: OPVNjM8g)
七ノ章「生贄青年」
「……」
「……」
生まれたばかりの人形と目を合わせる。
「出て行って頂戴」
先に口を開いたのはイヴ。
「生まれたばかりの人形に冷たい言葉をかけるのは厳禁だったわ」と、後から思う。
黙って出て行った彩佳の背中を見ながら、ため息をつく。
「……変わった人形ができたわね……。それも私の心の歪み……」
何1000年と生きてきて、やっと忘れかけた過去。
それが今、ただの無力な人間の力で思い出しかける。
『イヴ、イヴ……』
「誰……。今は入ってこないで」
でも、どこか懐かしい声……。
『俺だ。覚えてねぇのかよ』
「ディ……」
そう言ったところで口をふさがれる。
『今は“ディア”じゃねぇ。“サクリファイス”だ』
「“生贄”……素敵な名前ね」
『どこが素敵だよ。なぁ、俺……』
「何……?」
『お前を造ったのが間違いだったのか?
俺がお前への未練を捨てれば……。お前はこんなに不幸にならなかったのか?』
「馬鹿ね。過去のことを悔んでどうなるの。
それに、私は不幸ではないわ」
『嘘つくな。俺はお前のことなら何でも解る』
「頼もしいわ……」
『なぁ、こっち向けよ』
まだ俺に背を向けているイヴの肩を強引につかみ、俺の方を向かせる。
「……」
すると、悲しげに眼を伏せた。
『悪ぃ……』
「いいのよ……」
『なぁ、お前はこれから先、どう生きる?』
「私は私のやり方で生きるわ。これから大量の血に身体を汚すかもしれない。
でも……。私は貴方さえいれば他に何もいらないの」
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