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拾ノ章「ジャンク」

「……興味ないけど」
「余裕だな?」
進もうとするイヴの前に立ちはだかるのは神狩 彌華。
彌華は、腕を斬られて死んだ。
「……Tu sei senza peccato?」
“貴方に罪はありませんか?”
「……黙れ、壊れモノ」
その言葉に悪意を抱いたのか、喉には無数の針を刺した。

「あっ、彩佳ちゃん……っ」
剣を持ち、返り血で綺麗な髪も顔もドレスも真っ赤に染めたイヴに恐れをなす。
「……大丈夫、私は負けない」
「失敗作が。調子に乗るなよ」

「たかが一つの幸福を得たいがために、永遠の地獄を背負うのよ」
「……」
彩佳が喋る間にも、容赦なく剣はぶつかり合い、金属がぶつかり合う独特の音がする。
「なんて愚かなのかしら」
「達観して語るとは……。貴様は芯から壊れモノだな」
イヴの真っ白い肌に、彩佳の剣があたり、血を流す。
「何とでも言って」

「黙れジャンク。語るな、ジャンク」
ジャンクと壊れモノは同じ意味だが、ジャンクと呼ばれる人形の方が、かなり軽蔑されていることになる。
「そうよ、私はジャンク。でも、今はそうじゃない!」
「……ジャンクが感情的になるとは」

「私はまだ死にたくない! せっかく、光という友達ができたのに!」

「彩佳ちゃん……!」

「死ね、愚かなジャンク」