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拾参ノ章「Impossibile arrivare al vero segreto se non ci si accorge di tutto l'amore」

「今 蘇らん 我が愛しき人よ これらの死者の血を受け 蘇らん」

その言葉につられるように、一つの魂が宙を舞う。
肉体は足から構築され、次第に麗しい美青年ができあがる。

「イヴ、俺の為に……。こんなに………」
血まみれになった自分より一回り小さな白い手を、自分の手で包む。
「今はディアと呼んでいいでしょう?」
「ああ、今の俺はディアだ」
イヴの手を力強く握る。
「お前は、たかが俺を生き返らせるために……。
　永遠に生まれ来るものを殺し続けなければならない……」
「いいの。貴方がいればそんな地獄もつらくない」
いつもと変わらない美しさを持つ顔に“後悔”の念は一つもない。

「もう何があっても離れねぇ」
自分より小さな体を強く抱きしめる。
「Impossibile arrivare al vero segreto se non ci si accorge di tutto l'amore」
“全ての愛に気づかなければ 本当の秘密は視えない”
自分より大きな身体を強く抱きしめ返す。


“この呪いの館を訪れた人へ

　ここに来れば、もう生きては帰れません。
　どうか興味本位で肝試しに来る若者たちがいないよう願います。
　この殺人事件の謎を解いて下さい。それが僕の唯一の望みです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ラグ”

どれだけ時が経っても“呪いの館殺人事件”の謎は暴かれない。
呪いの館の残された手がかりは“ラグ”という人物が残した手紙だけ。
虚しくもラグの手紙は若者の好奇心を煽るだけであった。

“肝試し”と言い呪いの館に訪れた者の姿を見たものはないと云う。



—ＥＮＤ—