ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 狂人の遊び 気づけば500参照ゲット♪ ( No.122 )
- 日時: 2010/12/17 21:44
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: 最近は寒い。どうなっとるんじゃい。
第45話「王は悩む」
所変わって、深夜の海。
海は荒れ、吠える。
海を見つめる1人の王。
その瞳は一つも変わらず、睨みをきかせる瞳。
「誰だ。この俺を見てるのは。」
すると後から黄金の光りが迸る。
ヌトだった。
王こと玖我瀬 瑠華はヌトを灰色の目で睨む。
ヌトはそんな視線を気にせず語りかける。
「あなたは善の戦士なんですよ。」
「・・・ほーう。あの病院で会ったあいつらか。そんなの興味ねぇーよ。」
「そういうと思いました。あなたは人間が嫌いでしたね。」
玖我瀬は鼻で笑う。
「違ぇーよ、俺はあんな雑魚どもと行動すんのは嫌だってことだ。」
「あなたは、この世がどうなろうとどうでもいいというのですね?」
すると玖我瀬は首を横に振る。
ヌトは首をかしげた。
おそらくヌトは「あぁ」と言うと思ったのだ。
だが、予想は外れた。
「そうじゃねえよ。世界が終われば、楽しみが無くなるじゃねえか。だから、世界は死んでほしくねぇな」
ヌトは微笑んだ。
「よかった。少しでも善の心があります。この世を美しく思う思考。安心しました。この世は善の戦士に守ってもらうしかないのです。お願いします。」
玖我瀬はまた鼻で笑った。
「・・・善の戦士ね。殺戮本能の塊の俺がなっても意味ねぇだろうが。」
「殺戮本能でも優しい心はあるはず。」
すると玖我瀬は眉間にシワをよせる。
「なんだよ!?優しい心ってよ!殺戮人間は殺戮しか頭にねえんだよッ!!!優しい心なんざ・・・いらねぇよ・・・。」
怒鳴った後、玖我瀬は急に下を俯く。
ヌトは玖我瀬に近づき背中に手を当てる。
「迷いがありますね。ならその迷いを今ここで振り払いなさい。」
玖我瀬は顔を上に向ける。
「・・・振り払う必要はねぇ。俺に優しい心なんざねえよ。あるのは・・・殺戮の心だけ。その善の戦士になっても闘えるのか?」
「えぇ、もちろん。思う存分闘えるでしょう。あなたにとって、満足するぐらい。とても強い敵が待ち受けています。あなたの光りの力で打ち消しなさい。」
そういい残すとヌトは消えていった。
玖我瀬はため息をついて、ブロックに腰掛ける。
「俺には・・・殺戮の心しかねぇんだよ・・・。神様よ・・・。俺には優しい心なんざ・・・。」