ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 狂人の遊び 読者待望の第三章、ついに“始動”——— ( No.139 )
- 日時: 2010/12/24 15:29
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: ごめん、トイレの神様聞いて号泣しちゃった。
第52話「悲しみの記憶」
それは俺のせいなんだ。
あいつを守れなかったんだ--------
俺は普通に生活して、遊んでたんだ。
なのに・・・俺は何も能の無い人間だったんだ-------
今から12年前。
俺は6歳だった。俺だけじゃない、白も。
俺たちは双子だったが、なぜか髪の毛の色が違ってたから分かりやすかった。友達も沢山いたし、俺にとっては平凡で楽しかった。
俺が一番仲がよかったのが、山口 陽太っていう友達だった。
そいつは俺と全く違う性格だったが、なぜか憎めなかったんだ。
いつも外で遊び、とても楽しかった。
もしかしたら、白より遊んでたかもしれないな・・・。
ある日、俺たちは公園で遊んでた。
もう夕日も見えてきたし、帰ろうとした。
すると、目の前がいきなり暗くなり、気づけば古びた工場に居た。
横には、山口が震えながら俺の手を握ってた。
「おい、零・・・。俺たち・・・人質だぞ・・・。」
「え・・・。は、早く逃げようぜ・・・!」
「無理だ・・・。ほら見ろ、あそこ。」
山口は入り口のほうを指差す。
すると、目だし帽を被った男が銃を持って周りを見渡していた。
おそらく、何か待っているのだろう。
「あの様子だと、身代金とかだろうな・・・。」
「・・・え、身代・・・わかんねぇけど・・・そうだろな。」
こんな非常時な時にでも、おどける山口を見てると恐怖なんて吹っ飛んでしまう。とにかく、ここから出ないと、と思って犯人の隙をつき他の出入り口を探した。
周りを見渡し、ゆっくり歩いていると半開きの窓があった。
この狭さなら、自分たちなら抜けられると思った。
俺は山口を呼んで、早速逃げようとした時!
銃声が聞こえる。
俺は嫌な予感がよぎったんだ・・・
後を見ると、山口の腹部から血が噴出していた。
「おい!!陽太!!大丈夫か!?」
「大丈夫・・・じゃねぇ。とにかく逃げろ・・・。お前まで・・・殺されちゃうぞ・・・。」
「無理だ!!お前を置いていくなんて・・・ほら、今なら間にあう!!手を伸ばせ!!」
後を見ると、警官が走ってきていた。
警官は俺の脇を掴み、引きずる。
「君!早く逃げよう!!犯人に気づかれる!!」
「やめろ、離せッ!!陽太!!死ぬなっ・・・。」
俺は窓からどんどん離れていく。
涙が絶えなく零れ落ちる。
足をじたばたさせても窓から離れる一方だった。
窓から少し見えたものがあった・・・
それはあいつの・・・微笑。
それが俺が見た最後のアイツの顔。
馬鹿野郎・・・笑うなよ・・・。
その日から俺は、放心状態になった。
まるでセミの抜け殻だ。
何も応じなくなってしまったらしい。
それが俺の弱い心。
人っ子一人守れない・・・それが悔しくてたまらない。
それにつけこんだ・・・あの白い俺。
俺は今、そいつに刃を向ける。
今回はなかない・・・
待ってろ。
お前を夢のどん底に突き落としてやるからな・・・。