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Re: 狂人の遊び 読者待望の第三章、ついに“始動”——— ( No.145 )
日時: 2010/12/26 17:34
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: ごめん、トイレの神様聞いて号泣しちゃった。

第55話「白き者の記憶」

「俺の正体・・・知ってるみたいだな。流石だ。」

アイツは顔に笑みを浮かべ手に変化した炎神が戻る。
俺は血を腕でふき取り、息を荒く吐く。

「・・・元から知ってる・・・俺がお前なら・・・分かって当たり前だ。」

俺は弱った脚を無理矢理立たせ、よろめきながら炎神を構える。
アイツは笑った。

「ボロボロになっても立つ・・・。流石だなぁ、善の戦士。」

「・・・喋ってる暇があるか・・・?俺の炎神は闘いたくてしょうがないらしいぞ・・・。」









俺の主ってのは・・・ホント精神が強いよな・・・。
俺とは一味違うぜ・・・。
ずっと俺はアイツの戦いを見ていた。

この暗い闇から抜け出せない・・・
せめてもの暇つぶしだ。
いろんな奴と出会って、闘って・・・

俺が感じたことのないことをアイツは感じていた。
ハッキリ言えば・・・羨ましかった・・・のか?
俺の心はすぐポッキリいく弱い心。
その弱い心を作ったのがコイツだからな。

それが、あんな強い心になったなんてな。
夢か?
思わず笑っちまうよ。




俺がコイツの心に入り込んだのは、15年前ほどだった。
そんときは別に弱い心なんざなかった。
むしろ強い心なんてのもなかったぐらい幼かったころ。

入ったところを間違ったとそんときは思ったが・・・
その3年後にチャンスが来たんだ。
あの、児童誘拐惨殺事件だ。
その事件後にアイツの心は腐りまくっていた。

心の崩壊が激しく、もう2度とないチャンスだと思った。
だから、襲撃してやったんだ。
アイツは泣きじゃくり、殴りかかってきた。

全然痛くなかった。

「おい、フザけてるのか?こんなんで俺に勝とうなんて・・・。」

「思ってる・・・。」

アイツはボソッと呟いた。
そのあと、アイツの殴る力が尋常じゃなくなった。

そうか・・・。
これが・・・決断の力か・・・。




俺は影っていう心を食らう魔物。
存在を持たず、体を主から盗るために心を崩壊させる。
それが影の使命。

体を奪えば、不老不死になれるが・・・
10年以内に奪えなかったら、砂になってお釈迦だ。

だが俺はちょっと違う影だ。
主のDNAを取り込んだ影。
よって、影だがもう1人のアイツってわけだ・・・。

精神も力も能力も・・・全て一緒。
影の使命、10年以内の掟も無効。
体をもらわなくてもずっと不老不死。

もうもらったも同然なんだが・・・

俺はアイツの感じてる楽しさを感じたい。
だから、アイツの体を狙う・・・。

欲しいんだ。
俺が感じたことの無い・・・温かみを。