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Re: 狂人の遊び 読者待望の第三章、ついに“始動”——— ( No.152 )
日時: 2010/12/31 12:56
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第59話「悲しみの狂神」

その言葉を発した後、眩い光が迸る。
ベンチで寝ていたあいつはガバッと起き上がる。

「次の記憶に跳ぶぞ・・・。」

光は強くなり、空間が歪む。
公園から幼稚園に場所が変わった。

この幼稚園は俺が通っていた幼稚園だった。
幼稚園の入り口の前には、パトカーが止まっていた。

「・・・なんだ?」

その前に、俺は確認ために後ろを振り向く。
やはりアイツも付いてきていた。

「なんでお前まで・・・。」

「フンッ、俺の居場所はあの漆黒の夢の空間。それが今じゃお前の記憶の彼方じゃないか。俺はどう戻ればいいかお前は分かるのか?」

「チッ。」

俺は舌打ちをしてから、幼稚園に入る。
先生と警察が話していた。

「いつ、居なくなってしまったんですか?」

「・・・12時ぐらいに、みんなでお弁当を食べていたんですが・・・ごちそうさまをしてから、居なくなってしまったんです。」

俺の記憶がよぎる。
狂神が失踪したんだ・・・。
俺はその時大泣きしたっけ。

何処いったんだ・・・

俺はアイツを呼ぶ。

「フンッ、お友達探しか。俺の趣味には似合わないな。まあ、このまま突っ立っても暇だしな、手伝ってやる。おい、その狂神とかいうチビの私物みたいなのないか?」

俺は周りを見渡す。
竹馬が何個もかかっている中に「高橋」と書いてあった。

「これか。」

俺は狂神の竹馬を取り、アイツに渡した。
アイツは竹馬を手に取り、ジッと見つめる。

「何してるんだ・・・?」

「これがお前の持たないちょっとした能力だ。俺たち影は、誰かの私物と接触するだけで、そいつの情報を全部見ることができる。もちろん現在地もな。よし、見つけた。あっちだ。」

アイツは大きな山に指を差す。

「あれは・・・緑葉山・・・。」

緑葉山は一年中真緑の山で、冬になろうが枯れない特殊な木々が立つ山である。そこに行くと、願い事が叶う樹齢9000年の大木がある。
当時、俺たちは幼児だったから行けないとよく言われたが侵入してまで
もその大木に行った。

そういや、狂神も1度連れて行ったことがあった。
まさかと思い、その緑葉山に走る。

「・・・俺も付いていってみるか。」









草を踏む音がいい音だ。
鳥のさえずりが聞こえ、心を癒す。
周りが木だけで、木漏れ日は地を照らす。

俺は狂神を探すために、願いが叶う大木へと急ぐ。
人の気配は今のところ無い。

「ただ、俺が来てる。」

「・・・。」

コイツはどうしてついてきてるかは知らないが、俺はとにかく狂神を探すために、山を歩く。

大きな大木が見えた。
そう、これが願いが叶う大木、神木である。

「久しぶりに見るな・・・。」

「うっとりしてる場合か、零。アレ見ろ。昨日のチビじゃないか?」

大木の前に小さな男の子が手を合わせていた。