ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 狂人の遊び オリキャラ募集中 第五話更新 ( No.17 )
- 日時: 2010/11/01 23:06
- 名前: 月夜の救世主 (ID: 07JeHVNw)
第五話「奇妙な研究室」
あれから何時間たっただろうか。
これだけバカ広い研究室歩いても人っ子一人会わない。
とうとう、疲れ果てて零たちは壁にへたり込んでしまった。
「はぁぁ・・・!どんだけ歩くんだよ。なんかよ、同じところ何回も来てないかぁ?」
「き、気のせいだッ!」
いつもは冷静な零もあせってしまった。
幻道は大きなため息をつく。
「ここよ、なんか仕掛けてるんじゃないか?」
「・・・うむ。」
零はいままでにあったことを思い出してみた。
スタート地点のおそらく北部の研究室だと思われる。
これと同じように、東西南北とあり・・・零たちは歩いてきたわけである。だが、同じところを行ったり来たりしている、ということはどこかに扉が隠れてるとしか思えない。いままで、出入り口らしき扉はなかった。そのことについて幻道に話して見た。
「ほおぅ。あり得るな。だが、その隠し扉があるとは限らないんだぜ。あったとしても、罠だったらどうするよ?」
「・・・ごもっとも。」
そうだ、大体隠し扉があるなんて言い切れない。罠があったら、零たちは死も同然。
「まぁ、いいぜ。とにかく、行動だ。まずは隠し扉があると考えて、細かいところまで探そうぜ。」
零たちは壁、天井、床・・・などを調べた。
だが、なんにもない。
希望が一つ消えた。
「・・・くそったれ。」
零は怒りの蹴りを壁にかました。
「扉はなかった。なら他に考えはあるのか・・・?」
「んー・・・。」
珍しく、戦闘派の幻道も考えている。すると幻道はあることに気づく。
壁と壁の渡り道。そこに妙なセンサーがあった。
「おい、浅村。あれ・・・見ろよ。」
「あれは・・・?」
「わ、わかんねぇよ。とにかく取ってみようぜ。」
零たちは慎重にその怪しげなセンサーを取った。
「このセンサーは特別な素材でできてる。トリック状態を引き起こすセンサーだ。コイツは登録されている者にはトリック状態を引き起こさせないが・・・。」
「待て待て。んーだよ、トリックなんたらってよ。そっから説明しろって。」
「トリック状態は脳を操作する、特別な状態だ。いわゆる軽い洗脳だ。コイツは、俺たちを敵と見なした。だから、トリック状態を発動させたんだ。」
「どんな洗脳させたんだ?」
「俺たちは本来同じところを通らず、一個一個違う個所に歩いていた。だが、このセンサーのせいで洗脳されて、俺たちは同じ所を歩いていると思わせたんだ・・・。」
「よーく、できてるなぁ・・・。ってことはよ・・・こっから出る方法って一個一個このセンサー潰していけば出れるぞ!」
「そういうことになるな。ただし、ちゃんと見ろよ。また洗脳されると面倒なことになる。」
零たちは壁などを細かく探した。
1時間かけて全部取ることができた。
「はぁはぁ・・・。さっすが大手軍だな!いらねぇほど用心深いなぁ!」
「・・・他の軍とは違って、こんな化け物どもを作っているんだ。他の軍に見つかると、真似されて軍の存在も危ういだろう。」
と、会話しながら少し休んでいると・・・
「ふぅーん、結構お高い物持ってるね。」
と、またまた若い女の声が。気づけば零の刀がない。
辺りをキョロキョロ見渡すと、そこには
肩まである焦げ茶のセミロングヘアで青のかかった黒い瞳をした色白の女性が零の刀を持っていた。
「返せ、何者だ・・・。」
「あ、あたし?あたしは、雪砂 彩。鴉の一族の末裔だよ。」
「か、鴉!?コイツが?美人だなぁ。」
「おい、幻道。黙れ。とにかく返せ。」
「あんたら、このゲームの参加者ぁ?あたしもなんだけど。」
「あぁ・・・そうだが。」
「ふぅーん。そっか。あぁ!心配しないでよ。あたしはあんたらを殺す趣味なんてもってないから。」
どうやら、雪砂は優しいというか害のない者らしい。
それはそれで安心した。
零たちは雪砂のことを知るために質問した。
「お前は、何のために来た?」
「・・・まぁ、ヒマだしね。今日学校来たらだーれもいなしさ。その時眠かったから寝たら、すっごいイケメンの男の子出てきて、闘って殺せだってさ。何か面倒だね……。」
誰もいなかった?そういや、下級隊員たちもいなかったな。関係があるのか?でも、その時はあまりきにしなかった。
「・・・そうか。俺は、このつまらん戦いを終わらすために行動している。この黒マントは知らんが。」
「へぇ、あたし1人行動してるからね。この建物広いから探検してるんだよ。闘う以外は楽しいところだから、まぁしばらくいとくよ。じゃあね!」
雪砂は一瞬にして消えてしまった。
なんだろうか、武装人間はいるわ、鴉の化身はいるわ、影の使い手がいるわ・・・なんなんだよ。と思う零。その目の前に、感じたことのある寒気が走った。
漆黒の風とともに出た、恐怖の化身狂神だ。
「やあやあ。まだ、闘ってないの?はぁ!ルール説明聞いたぁ〜?今、ここに存在してる状態でさ、君たちは闘わないといけないんだよぉー。」
「黙れッ!!なぜ闘わないといけないんだッ!!」
「これはね、僕らの伝統儀式だ。でも、今回でもうおしまい。キミ達のように虫唾が走る友情ごっこする人たちが増えたんだよ。だから、もうおしまい。最後の参加者さんたち・・・楽しもうよ。こんな楽しい楽しいお祭りはもうないんだよ・・・。」
「言ってることがわかんねぇなぁ。ちょいと、おしおきしねぇとわかんねぇか!?」
幻道が双剣を出して、狂神に襲い掛かる。
狂神は、黒い風とともに瞬間移動し幻道の後へ出現した。すると、手をピンと鋭くし背中を突き刺したのだ。血が飛び散り、幻道が苦しみの声をあげるが肺を突き刺されたのか分からないがあまり大きな声が発せない。
「幻道ッ!!」
「おしおきっていうのは制裁かい?なら神のボクがしなくちゃいけないじゃないかぁ。神になってから「おしおき」という言葉を使いなよ・・・。」
幻道は膝をつきそのまま倒れてしまった。背中や腹部から血が大量に出てくる。
それを見た、零は怒りがこみ上げてくる。
「貴様あああぁぁぁ!!」
零は刀を振り上げ、狂神に襲い掛かる。
すると、狂神は身も凍る嘲笑いをした。
その一瞬で血しぶきが上がる。
気づけば、腹部は血だらけで狂神の手が貫いていた。
「うっ・・・あっ!!!」
零も倒れこんでしまった。
意識が薄くなっていく中、少しだけ狂神の姿が見えた。その時の顔は、忘れられない悪意に満ちた表情だった。
「おやすみなさい・・・。」
零はその声を聞いた後目の前が暗くなった。