ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.175 )
- 日時: 2011/01/02 22:27
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: http://ameblo.jp/pokemon19/
第69話「鏡は皆を見る」
「ううっ・・・・・!」
坂下の腹部からは、血が流れる。
長谷川は、声を大にし笑う。
「おマヌケだね。鏡に映るのは、自分。分身じゃあないんだ。分身と思った君はとっさに斬り付ける様は・・・笑えるよ。」
「・・・くっ・・・。こんな・・・変態に・・・。」
ナイフを落とし、跪く。
息を切らし、長谷川が二重に見えてくる。
(あぁ・・・私の・・・負けなんですね・・・。)
長谷川は、鏡を全て割る。
鏡の中に入って、移動距離を増やすためである。
もぐら叩き作戦といったところか。
早速、鏡に入り、坂下をおちょくった。
「あっはっは〜!お元気なレディー!これであなたの負け!!そっくりそのまま返すよー!美しい最期で飾り付けだ!」
すると坂下は、ひらめく。
弱りきった体だが、こんなことは容易いことだ。
そう、長谷川の最大の隙を見つけた。
「入りましたね?貴方の場所、鏡に・・・。」
「そうさ、僕の場所さ!僕しか見ない、この鏡の世界に!!」
「そうですか・・・では、一生見てくれないようにしましょうか。」
手を広げ、気を集中させる。
その気はみるみる内に大きくなる。
長谷川は鏡の奥で、動揺する。
「私は、人間じゃない人間ですからね。これぐらい、簡単です。」
気は波動と化し、大爆発する。
鏡のかけらは燃え尽き、跡形もなくなる。
少し鏡のかけらが残った。
そこから長谷川が出ようとしている。
それを見つけた坂下は睨みつける。
長谷川は涙を浮かべ、口々に、
「ゆ、許してくれ・・・レディー・・・!僕は・・・もう・・・。」
坂下はそんな反省の色がない長谷川をもっと睨みつける。
どうせ助けたところで弱ったこの状態が坂下にとって隙である。
その優しさが・・・仇となる。
そして、一言・・・最強の毒舌をまいた。
「さっさと黙ってください、黙秘権はありませんが。」
ナイフを振りかざし、最後のひとかけらを割る。
これで完全に長谷川にとっての見方が失われた。
「はぁ・・・疲れました。少し・・・寝ましょうか・・・。」
空が青い。
これが坂下の夢。
永遠に続く、青い空。
空は宇宙にまで続く、果てしなきもの。
それを壊すのは・・・もったいない。
だから、この戦いに参加する。
永遠の平和を保つために。
岩の影で、エターナがメモをする。
「勝者、坂下 狢様。おめでとうございます。」