ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.193 )
日時: 2011/01/09 19:53
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第77話「姫は怒る」

白い花は赤く染まる。
レアリスの手からはその花の様に腕は血まみれだ。
アスターは「グルルルルッ!」とレアリスに威嚇し、睨みつける。

「・・・アスター・・・。」

綾瀬は高笑いをし、腕組みをする。
レアリスをコケにしているようだ。

「あーあ、もうちょっとぐらい手ごたえあるかと思ったのよ?でも、こんな程度じゃ・・・。本気も出してないのに、殺せるわッ!!」

綾瀬は手から伸びる、白き糸をレアリスに刺す。
レアリスの顔からは、切れて血が出た。
相当悔しいのだろう。眉間にしわを寄せ、下を俯いている。
綾瀬はそんな様子を見ておかしくてたまらない、といったような嘲笑いを浮かべる。

「もう、いいわ。このペットも一緒に殺してあげるわ。」

綾瀬がレアリスにずんずんと近づく。
ふと、綾瀬は下を見る。
そこには、血で赤く染まった花がポトリと落ちていた。

「フンッ。汚い花ねぇ。」

綾瀬は花を踏む。
そして足をグリグリと捻り、花を踏みにじった。
それを見たレアリスは・・・、

「・・・もう、許さない・・・!絶対にッ!!」

傷ついて痛いが、怒りでそんなの分からない。
怒りに任せ、ロッドを取る。
綾瀬は「ほぉぉっ。」と嘲笑いながら相槌をつく。

「そんな力あるんだったら最初から・・・、

綾瀬がからかっている間に、もう目の前には火の粉が飛んできていた。
火は顔で燃える。

「うはああああああっ!熱いッ!!何よ、消えない・・・!?」

レアリスは、ロッドに全てを込める。

(皆、力を貸して・・・!)

炎は顔から、手へと移る。
アスターを操っていた糸が焼け、心操が解ける。

(アスター!元に戻ったのね・・・。よかった・・・。)

心の中で、レアリスは安心する。
ロッドには全ての魔力が込められる。

「アスター!お願い、ちょっと力を貸して!」

「うん!任せて、元に戻してくれたお礼だよ。」

レアリスは怒りの視線を綾瀬に向ける。
綾瀬は体まで炎が行き届き、もう叫ぶことしかできない。

「わたしは、全てのものを殺めることを許さない。あなたには、大きな処罰を受けてもらいます!・・・これは、姫の役目ですから・・・。」

アスターは綾瀬に向かって走り出す。
ロッドから放たれた魔力はアスターを包み込む。
アスターの体は七色に光り、閃光のように速くなった。

「うっ・・・!!こんな、こんな・・・ヘナチョコに負けるなんてッ!!!」



ドーーーーーーンッ!!!



大爆発し、綾瀬は跡形もなく消え去った。
レアリスは手を合わせる。

「・・・ごめんね。そうすることしか・・・。」

その優しさが全てのものに届く。
癒しの光りがレアリスを包み込んだ。
すると、腕の傷は跡形もなくなくなった。

「ありがとう!皆!」

レアリスの耳に誰かの声が聞こえた。