ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.208 )
日時: 2011/01/15 14:23
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第83話「巫女の悲しみ」

完全詠唱まで・・・あと少しッ!

そう心の中で思う魔女、幻道 千恵は祈りの力でこの暗闇の結界から出ようとしていた。
今の状況、この戦争について怪しいと思った千恵は自分の分身に情報を盗みに行かせていた。

千恵はどうしてもあの相手を殺めることはできなかった。
なぜなら深い悲しみを感じたからである。
おばあちゃんの勘かね?と思ったが、やはり人を殺めることはできない。

孫にああやって言い聞かせておいて、祖母が人を殺める?
神が許すはずがない。
今はとにかくここを抜け出そう。長く居ては流石に死ぬ。

全魔力を結界内に注ぎ込み、亀裂を入れることができた。
あともう少しだ。完全詠唱で完全にこの結界は破壊させる!





一方、結界外にいる私はずっと呪いの結界を見つめていた。

(・・・小癪な。)

無理矢理心の中でそう言って聞かせた。
でも本当はこんなことしたくないと薄々思っていたかもしれない。

「父さん、母さん・・・。私ってよい子なの?」

そう言っても、父さんたちは許してくれるはずがないでしょうね。
私悪いことしてるもの。ご老人をいじめてるもの。
私死んじゃったら、閻魔様に舌を抜かれるでしょうね。

「ねぇ、ご老人。あなたは苦しくないの?未来を持つ若き子にこんな悪いことしてるところを見て・・・。」

私はあのご老人に聞こえないくらいの小さな声で聞いてみた。
でも、返事は返ってこない。でしょうね。
返事なんて聞きたくないから、いや、もうわかってるから小さな声で聞いたのよ。

あら、結界に亀裂・・・?
そうね、あのご老人ならこんなの簡単よね・・・?








(早く、来ておくれ・・・分身よ。一刻も早く、この戦いを止めさせなければ・・・。)

おばあちゃんの勘が、真実を貫く。