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Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.209 )
日時: 2011/01/15 18:56
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第84話「王座強奪対決」

一方、こちらの対戦場所となる平原。
青空がどこまでも続き、穏やかな風が王を満喫させる。
死んだ目は動く白い雲を見上げる。
手には鉄パイプ。そう、玖我瀬である。
口が笑っている。戦いが始まらないかとうずうずしているらしい。

ガサッ

草を踏む音が聞こえた。
誰かが来る-------と言っても来る相手は決まっている。

「よーう。お前だな?自称、王様ぁ!」

「・・・あぁん?」

玖我瀬は声のするほうへ首を向ける。
そこには、金髪の青年が歩いてくる。
首にはパイロットゴーグルをつけている。

「お前か、この俺を楽しませてくれるのはよ。黒野郎。」

「それはこっちの台詞だぜ、白野郎。」

すたすた歩いてくるこの男。
何故か馴れ馴れしく話しかけている。
それだけ余裕なのか?

玖我瀬は鉄パイプを振り回し、襲い掛かる。
刺客は瞬時に長い槍を取り出し、身を守る。

「ほうー。なかなか行動の早い奴じゃねぇか。」

「お前もな。」

2人はスッと後ろに下がった。

「言っとくが、俺は王だ。絶対に負けるわけには・・・ってかもう勝ちも同然か。」

「はぁ?ふざけてるのか、テメェ。」

刺客は槍を地面に突き刺す。
金髪が風になびく。
金色の瞳が玖我瀬を映す。

「俺が王だッ!!力、能力、精神、頭脳・・・どれをとっても王じゃねぇか。お前は殺戮の塊だぜぇ?」

玖我瀬の眉間にピクリとしわが寄る。
玖我瀬に闘争心が燃える。
これは絶対に負けられない戦い。負ければ俺は王じゃなくなる。と。

「いい度胸じゃねぇか。王を名乗るたぁよ!!!」

玖我瀬は鉄パイプを振り回し、猛スピードで走ってくる。
鉄パイプと槍が重なり合う。
何度も何度も、あたり合い、それは止むことはない。

「おおーっと、隙アリ。」

刺客は槍で腕を切る。
血が噴出し、青い緑に血がつく。
流石にこれは痛かった。

「ウウグッ!!」

刺客は嘲笑った。
こんなんでいいのか?
こんなに俺の対戦相手が弱くていいのか?
弱いくせに王を名乗ってやがる-------と。

「アッハッハッハ!!いい気味だな。王の座は俺が貰っていいんですかい?」

玖我瀬の肩が震えている。
怒りで震えている------のではない。
笑っている。笑っているんだ。
刺客は「んあ?」と見つめた。

「いいじゃねぇか。これだよ、これぇ!!戦いのスリルが俺の殺戮本能を揺さぶるッ!!」

腕を怪我している。
そんなこと関係ない。
殺戮王はただ楽しめりゃいい。
楽しんで血を見て、相手が倒れる様を見るのが本当の満喫。
玖我瀬は鉄パイプを構え、走ってくる。

槍と鉄パイプがあたり合った。
金属が当たる音。
玖我瀬にとって音楽であった。

「おい、白野郎。俺は黒の刺客NO.6の---------

「っせーんだよ。闘う時は・・・笑って闘えッ!!」

鉄パイプが刺客の頭を叩く。
刺客は飛ばされ、草原に転がる。

「ホームランってところかぁ?」

「あぁ、ストライクじゃあねぇなぁ。」

刺客はバッと立ち上がり、額に流れる血をぬぐう。
そして名乗る。

「船越 馨ってんだ。王はもらったぜ?」