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Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.217 )
日時: 2011/01/15 23:18
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第88話「母子との戦い」

「1人ってやだなー。」

巨乳の美女が広い遺跡へと足を踏み入れる。
まあそんなに有名でもなさそうな遺跡だった。
でも、1人で気味悪いこんなところに来るなんて無理だと思いつつ歩く。
そう、その巨乳美女とは三木のことである。

「・・・来たかい、あなたが・・・三木 彩佳だろう?」

「え・・・あぁ、そうですよって・・・黒軍の人?!」

大きな銅像の隅から出てきた、白髪の男子。
無表情で三木を見つめる。

「僕は黒の刺客NO.12の鵜飼 疾風。あまり闘いたくないけど、よろしく。」

「あはは・・・よろしく・・・。」

なんか闘いにくいと三木は思ったのか、なかなか刀を出さなかった。
でも、勇気を出して刀を抜き、襲い掛かる。
鵜飼も闘う気を出したのか、大きな金槌を取り出し、身を守る。

「おっきぃー・・・。」

おそらく、3mはあるだろう。
鵜飼はブンブン振り回し、地面を叩く。
すると、地が割れ、足が引っかかる。

「うわぁ!動けない!」

「もらったよ。」

「いやいや、まだまだぁ!」

三木は刀で守る。
だがとてつもない重さが三木を苦しめた。
刀がポッキリ折れそうな感じがして怖かった。
でも三木にはもう一つ武器ある。

「言霊!!」

刀で守りながら詠唱する。

「火よ燃えろ、燃えろ・・・。炎の言霊ぁ!」

鵜飼の足元に火がつく。
鵜飼は火に気を取られ、隙を作ってしまった。
三木はその隙を逃さず、地面から抜け出し、刀を振り上げる。

「しまった・・・!」

「・・・疾風ッ!」

女性の声が聞こえた。
三木が刀を降り下げようとした時、いきなり息苦しくなった。
咳も出てきた。あれ、おかしいなと思った。
ふと、目を鵜飼へやると横に女性が立っていた。

「へっ・・・?だ、誰・・・?」

「・・・私は鵜飼 疾風の母親よ。ある者の命令に従い、あなたを殺します・・・。」

「えぇ・・・?親って・・・。」

三木は咳をしながら母親を見る。
なにか悲しそうな顔をして、構えている。
そして手をパッと広げる。すると手のひらから紫の粉が飛んできた。

「え・・・ナニコレ!」

三木は何にもないかなと油断していた。
だが、その粉は・・・・

「菌よ。」

「へ?」

確かに、三木の体に異変が起きる。
急に息苦しくなり、手が震え、寒気がし、咳が止まらない。

「私は、鵜飼 叶瑚。黒の刺客とは何にも関係ない普通の能力者です。私の能力は「菌(ウイルス)」毒性の菌や良性の菌など様々な菌を出すことができるのです。」

三木はついに座りこんでしまうほど毒が回り始める。
このままでは死ぬ。
確実に死ぬ。
三木の頭の中になんども再生される。

「かあさん・・・なんで来たんだ!」

「・・・あなたを守るためよ。私に考えがあるから・・・。」

鵜飼は下を俯き、座り込む。
叶瑚は鵜飼の肩をポンッと触れ、

「今は倒す気で行きなさい。」

と助言した。
鵜飼はコクリと頷き、スッと立ち上がる。
目を瞑る鵜飼。
三木は苦しいが立とうと足を何度も立たせようとするが、あしが竦む。

「僕の能力は創造。頭の中でなんでも創り、実体化させることができる。今、僕は何を考えているかわかるか?」

三木はそんなことを無視し、なんとか立ち上がった。
鵜飼はバッと目を開く。
すると、魔物が10体召喚される。

「うっ・・・相手は12人か。これは・・・もう、ダメかも・・・。」

魔物たちは一斉に三木に襲い掛かる。
菌が体の中で暴れ回り、外部では魔物が暴れまわる。
これより痛いものってあるのかと意識朦朧としている中で思った。

ついに三木が気を失う。
叶瑚は鵜飼に、

「あの魔物たちを戻しなさい。」

「うん・・・。」

叶瑚は三木に触れた。
すると手から白い粉が出てくる。
その粉は良性の菌だった。

「かあさん!良性の菌は、出したら・・・!」

「いいのよ。あなたを置いて・・・・逝きたくはないけど。」

三木の顔色が徐々によくなって行く。
その代わり、叶瑚の顔は悪くなっていく。
そう、良性の菌とは全ての悪性菌を殺傷する菌だった。
だがその菌を出すには、自分の命が源だった。

鵜飼は涙を流し、叶瑚の腕を掴む。

「やめてよ、母さん!!」

「私の代わりにこのひとに釈朱を倒してもらうの。釈朱はとんでもないことを考えている。あのままじゃ、黒の刺客だって1っ子1人残らない・・・。」

「どういうことですか、叶瑚さん・・・!」

三木は叶瑚に問う。
それはこの戦争の真実を語る話だった。