ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.225 )
- 日時: 2011/01/16 21:58
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: http://ameblo.jp/pokemon19/
第93話「私頑張りますから」
「そうだったんですね・・・。」
三木は重い体をゆっくり上げて起き上がった。
だが、叶瑚は顔を青ざめてぐったりと倒れこんでいるが顔は笑っている。
三木はギュッと叶瑚の手を握る。
「・・・私頑張りますから。」
「お願い・・・ね。」
叶瑚は目にうっすら涙を浮かべ、三木の手を弱い力で握る。
(もう握力なんて残ってないんだ。)
三木は鵜飼を見つめる。
鵜飼の目には大粒の涙を流し、ずっと母である叶瑚を見つめていた。
「ねぇ・・・鵜飼君。私とっても悪いことした。私のせいでお母さんが・・・。」
「これは、母さんが決めたこと。とても悲しいけど・・・。」
鵜飼は自分の武器を取り、構えた。
殺意があるのかと思った三木は刀を構え、じっと睨む。
でも、そんな目じゃなかった。
「この戦争に勝つには、僕たち黒の刺客を破らないとね。さあ、僕も本気で闘う。だから君も本気で闘って。」
「・・・わかったわ。」
2人の武器が重なり合い、金属音を奏でる。
本気と本気のぶつかり合い。何も不正なく、感心する戦いだった。
だが、どちらかが死ななければならない悲しき戦いでもあった。
母である叶瑚は自分の息子である鵜飼の勇ましい姿をみて人生最後の涙を流す。
「あぁ、疾風・・・。あなたは、そんなに強くなったのね・・・。嬉しいわ、母さん。」
鵜飼の金槌が三木の腹部を打撃する。
もの凄く重いため、威力が尋常じゃなかった。
三木は壁に強く激突し、刀は鵜飼近くの地へ刺さった。
武器があんなに遠いところへ行ってしまった。
少し不利になる。どうやって行くものか。
「そうだ、言霊を利用しよう・・・・。」
三木の口からでる小さな呟き。
鵜飼には聞こえないように呟いた。
三木は手を出し、鵜飼に目掛ける。
「岩よ、飛べ!!」
そこらじゅう小石が浮き上がり、鵜飼を標的とする。
無数の小石たちは鵜飼に目掛けて飛ぶ。
「ううっ・・・!!」
目に当たると危ないため、防ぐしか手はなかった。
それを目的とした三木は、「よしっ」と重い体を起き上がらせ刀を取る。小石はようやく、無くなり金槌を下へおくと--------
目の前に三木が刀を振り上げていた。
鵜飼は「はっ」とし、瞬く間に斬られる。
一瞬にして血が吹き飛び、壁に飛び散る。
鵜飼は膝から落ち、それから上半身も倒れた。
三木は思わず目を逸らした。
自分でやったのを認めたくないのか、母親が居る前で虚しくも崩れ去った息子を見たくなかったのか、自分でも分からない。
「おめでとう、白軍さん・・・。君は、勝ったね。さあ・・・この世のために頑張るんだろ?いってらっしゃい・・・。」
三木はしゃがんで鵜飼の手をギュッと握った。
「わかったよ。私、あなたたとの戦いを無駄にしないから。」
三木は遺跡の出口へと走り出して行った。
「ねぇ、母さん・・・。」
鵜飼は母を呼ぶ。だが、返事が返ってこない。
鵜飼はふっと笑い、
「もう、寝ちゃったのか-------。」
と、一言言う。
「僕も眠くなっちゃった。おやすみ----------。」
鵜飼の目は閉じた。