ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.227 )
日時: 2011/01/16 22:33
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第94話「魂が動く」

槍が玖我瀬の右肩を貫いた。
血が草木にかかる。だが玖我瀬はニコニコしている。

「いいぜ、いいぜぇ。戦いって楽しいよなぁ!!」

次は鉄パイプが船越の前頭葉を打撃する。
バキッと音がした。ヒビが入ったのだろうか、船越は悲鳴を上げた。
相当痛かったのだろう。しゃがみ込み、玖我瀬を睨みつけた。

この戦場は何も情けがない戦場。
戦いを好む者しか来てはならない戦場。温厚なものが来れば刃で一刺しか、あまりの脅威さに怯えおかしくなるか-----------。

「おいおい、もう終わりかぁ?」

鉄パイプを肩にトントンしながら玖我瀬が船越を見下げる。
額には血が流れ、痛みを噛み締める船越がいた。

「そろそろ、この体もボロボロか。ちょっと休ませてやるか。」

と、奇妙なことを口にする。
「あん?」と玖我瀬は鉄パイプを肩から下げた。
すると腰につけていたカバンから人形を取り出し、放り投げた。
玖我瀬はその人形を見て「ぷっ」と笑う。

「てめぇ、ふざけてるのかぁ!?笑わせんじゃねぇよ!!」

鉄パイプを後頭部に目掛けて、降り下げた。
すると船越はいきなりパタリと倒れる。そこから青白い魂が抜け、落ちた人形に入り込んだ。玖我瀬は人形を掴み上げ、振ってみる。だが、なにも起きなかった。

「はぁ?逃げたのか、アイツ。ムカつく野郎だぜ。」

「いんやぁー、逃げてないけどな。」

人形は見る見るうちに大きくなり、玖我瀬と同じくらいの身長になった。その容姿は、さっきとは変わらず、顔はそのままだが髪の毛の色が金髪からオレンジに変わり、服装は白いマフラーと黒いコートと化した。船越はオドケながら、

「どうよ、イメチェンだぁ。」

と、玖我瀬に見せ付けた。
玖我瀬はグッと船越の胸倉を掴んだ。

「なんだありゃ。ふざけた真似しやがって。折角体力を削ったのにやり直しかぁ?」

「あぁ、あれな。」

船越は自分の胸倉を掴み上げている玖我瀬の手を離し、空を見上げて言った。

「コレが俺の能力、『魂移動(ソウルムーブメント)』だ。近くにあるものならなんでも憑依することができる。まあちなみにこれは俺の血を含んだ皮人形だ。そんであれが、本体だ。」

船越は倒れているボロボロの自分を指差した。
玖我瀬は「ほーぅ」とうなづく。
首をポキポキならし、鉄パイプの先を肩に乗せ、

「憑依する前にお前をぶっ殺す。」

と、船越を挑発する。
だが船越は「へっ」と笑う。

「やるならやってみろ、ヘボ王様。」

「ああ、やってやる。」

槍と鉄パイプが構えられた。