ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.229 )
- 日時: 2011/01/17 00:10
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: http://ameblo.jp/pokemon19/
第96話「朱嵐の瞬間勝利作戦」
ハァ、ハァ・・・
息だけしか聞こえない、対戦場所の教会。
ここで闘っているのは朱嵐と川西。
武器を持たない状態で闘うのはなかなか時間がかかり、素手でやると体力が奪われる数が尋常じゃなかった。ただ、負ければ死ぬんだ。絶対に勝ってやるんだ。敵同士ながらも思いは一緒だった。
「僕は、まだ諦めませんからね。」
「えぇ、面倒くさいなぁ。もう、負けを認めなよ。」
2人はぶつかり合い、殴り、蹴り・・・
投げたりもした。が、案の定同じステータスなら決着もつかないか。
とうとう朱嵐に限界が来る。ただ、疲れたという限界ではなく--------
面倒くさくて---------である。
でも、ここで「イヤだー、もう面倒くさい!」というわけにはいかない。だから、一瞬で勝つ--------!
まず瞬間勝利作戦の準備にとりかかる。
壁をすり抜け、出てくるを繰り返し相手を惑わせるというもの。
相手も馬鹿じゃないので、効かないかも知れない事を前提に作戦を結構する。いろんな壁から入り、いろんな壁から出てくる。
(チッ。何処から出てくるのかが分からないな・・・。ならば・・・!)
川西は適当に壁を選び、拳に全ての力を入れる。
そして壁を殴った。教会全体は揺れ、右側の壁から朱嵐がフラフラしながら出てきた。
(くっそー!その手があったかぁ・・・。)
首を横に振り、我に返る。
さてどうしたものか・・・流石に一気に何個も作戦を作れるわけも無くさっきの作戦しか考えてなかったのだ。
川西は朱嵐を見つけ、猛スピードで襲い掛かった。
腕でなんとか守り、川西を弾き飛ばす。
朱嵐は周りを見渡し何か作戦に役立つ物はあるかと考えた。
ふと、キリスト像が目に入った。
(そうだ・・・あれだ!!)
朱嵐はキリスト像のほうへ走り出す。
その後から川西が追いかけてきた。
朱嵐は「よしよし」と川西のほうをみて笑った。
そしてキリスト像のほうの目の前で止まった。
「あーあ。あたしさぁ、アンタよりつよーい技持ってるんだよね。」
「ん・・・?」
「いいの?出しちゃうよ。これだしたら、一発で死ぬよ?」
と、朱嵐は川西を焦らせた。
川西は出される前にと強力な蹴りで朱嵐は飛ばされる。
壁に激突したその拍子に朱嵐はそのまま壁へ入っていった。
川西は朱嵐が壁から出てくるのを待つ。
だが一向に戻ってこなかった。トリックはないかと周りを見渡すが何も変わっていなかった。
「どうやら、僕の勝ちだったようですね。」
そのまま立ち去ろうとした、その瞬間------
「えええぃ!!」
その大きな声と同時に前にあった大きなキリスト像が倒れてくる。
川西は逃げる間もなく、キリスト像の下敷きとなった。
そのキリスト像が立っていた石の後ろに朱嵐の姿があった。
「どうよ!!作戦成功!!」
壁に入った朱嵐は移動し、大きく幅が広いキリスト像の後に隠れていた。死んだと思った川西の予想はあっけなくハズレであった。
キリスト像が動いている。
朱嵐の胸に嫌な胸騒ぎ--------。
キリスト像から出てきたのは血だらけの川西だった。
朱嵐は「ぐわあああっ!!」と声をあげショックを受ける。
(まだ生きてるのか、コイツウウゥゥゥゥ!!)
だが川西はフラフラと少し歩いた後、バタリと倒れてしまった。
「あり?」と思い朱嵐は川西に駆け寄る。
「もう闘えませんよ---------、体中あなたのせいでボロボロです。それでもまだ闘えと-----------?」
「いえいえ、お疲れ様でした。」
心のこもってない即答。
もうウンザリというような顔で朱嵐は川西を見つめる。
川西は「ふっ」と笑う。
「僕-----、今からペテン師に会ってきます。本性を暴きます-------。では、また会う日まで。」
そういい残し、動かなくなってしまった。
朱嵐は川西の亡骸を残し、
「行ってきなよ。ペテン師はアンタと会いたくてしょうがないらしいよ。」
と、一声かけていった。