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Re: 狂人の遊び 過去へ“終焉”の知らせを放つ刻 ( No.241 )
日時: 2011/01/21 20:45
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: http://ameblo.jp/pokemon19/

第103話「神霊と妖霊の思い出」

アペルプシア、お前は私のことを如何思っていた?憎んでいたか?恨んでいたか?それとも、愉快だったか?
私は愉快だった。お前とは初めて遊んだ友だったからな。誇り高き友だった。だが、今は闘い合う戦士。また、友と言い合いたい------------。





アペルプシアは妖霊といって、闇を司る霊だった。妖霊と神霊は敵対関係にあり、争う存在だった。当時私はまだ小さかった。この世が生まれる前の話。

私には友達というものがなかった。むしろ、作らなかった。何故か拒絶し孤高を気取っていたから。だがいつの日か、友とはなんだろうと思う日がやってきたのだ。気になってしょうがなかった。

森を飛びまわり、鳥とも仲良くなろうともした。だが、私には誰も近づかなかった。孤独と寂しさが全てを逃がした--------そうだろう?
1人とはそういうものだ。温かみを知れないのだ。正直、寂しかった。

だが、そんななか光の手を差し伸べたのがお前だ。最初は戸惑った。妖霊のお前が、私を惑わし、闇に沈めようとしているのかと。だが違う。そうじゃない。この妖霊は私と同じなのだ。温かき者を捜し求めてきた孤高の霊。同じ心の者同士仲良くせねば、神が許さないと。





お前は最高の友だ。







シャルロリアはアペルプシアに大量の水力魔法を食らわせていた。
息が泡とと化し、苦しんでいる。その様を見るのは辛くてたまらない。
友を殺める?ふざけるなとシャルロリアは自分に訴えた。アペルプシアからシャルロリアの魔法が溶けた。それから、シャルロリアを睨み怒鳴りつけた。

「何のつもりだ、シャルロリア!!殺せ、殺せッ!!!」

「無理だッ!!友を殺めるなど!!」

「そうか、貴様がしないのであれば・・・。」

アペルプシアは大量の炎魔法を体に取り込んだ。体は大きく膨れ上がり、空気が沢山入った風船のようになった。

「や、やめろ!!貴様こそ、どういうつもりだ!!」

「貴様が殺さないのなら、身をなげ・・・!!」

アペルプシアから魔力が破裂する。体からは白い雪のようなものが落ちる。魔力の塊だ。妖霊は魔力を全て使い果たすと死んでしまうのだ。シャルロリアは落ちる魔力の塊を見つめる。

「アペルプシア・・・!!」

上から、アペルプシアの体が落ちてくる。ドサッと音を立て、草に落ちた。シャルロリアは大切な友に駆け寄り、手を握る。

「待て!!逝くな、逝くんじゃない!!私を置いて逝くなど・・・!」

「貴様は逝くな。悪事を働くものは裁かれる。これが基本だろう?それに、貴様は・・・この世を救うのだろう?逝ってはならん・・・!生きろ、仲間と共に・・・。」

シャルロリアの目からは大量の涙が流れる。涙はアペルプシアの頬に落ちる。さらに手を強く握りしめる。

「また、お前と森探検・・・したいな。」

そういい残し、アペルプシアの手から力が抜けた。まるで、この体から出て行ったように・・・。






「あぁ・・・したいな・・・。」

涙が絶えなくおちる。友との別れは・・・何よりも辛い。






アペルプシアの亡骸には、白い花が沢山供えてあった。