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Re: 狂人の遊び オリキャラ募集中! ( No.75 )
日時: 2010/11/29 20:28
名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
参照: 今日は振り替え休日だぁー!

第26話「釈朱の彼女」

青い石に触れようとする手を弾く千恵。
弾かれた手は、直ぐに後に隠す。

「す、すみません・・・やっぱり駄目ですよね。」

その声は若い女性だった。
千恵は、少し笑って見せた。

「謝ってくれるだけで、神は許すのじゃ。もう、同じ過ちを犯さぬように、誓うのじゃ。」

「は、はい・・・。わかりました。」

若い女性はすぐに、その場を立ち去ろうとしたが幻道は止めた。

「待てよ。女一人でこんなとこ・・・来れるわけ無い。お前も能力者だなぁ?」

女性はおびえた様子で、小さくうなずく。

「んで?お前、何しに来た。」

「わ、私は・・・その悪いことするためにこの石を盗りに来たわけじゃないんです・・・。」

女性は壁にもたれかかり、話す。

「あの石は、思う意思が強ければ願いが叶うという伝説の石です。私は、大切な人を戻すためにここへ来ました。ですが・・・少し迷っていました。こんなので・・・物に頼ってあの人を戻したくないって。」

「大切な人って・・・?」

幻道は聞いた。するといきなり女性は泣き出しそうになる。千恵は幻道を睨みつける。

「だぁぁ・・・!そ、そういう意味で聞いたんじゃねぇよぉー!な、泣くな!俺のメンタルが死ぬ!」

「す、すみません。つい・・・。誰と聞きましたね。今、あなた方が倒すべき・・・人です。」

「き、狂神か!?」

女性は首を横に振る。
幻道は「はぁ?」と首をかしげる。

「今、狂神さんは・・・私の彼氏によって計画を滅茶苦茶にされました。そう、今・・・災いを全て起こしてるのは私の彼氏なんです!」

女性は、目から大粒の涙を流し頭を下げる。
幻道は聞く。

「ってことは、あの人間を穴から引っ張ってきたのもあの声の主も・・・お前さんの彼氏か?」

女性はうなずく。
涙を腕でぬぐい、鼻をグスグスといわす。
そこからは責任感というオーラが漂う。

「お前・・・なんつーんだ?」

「藍染です。よろしくお願いします。」

幻道は眉間にしわを寄せ、そのあと鼻で笑う。

「よっしゃ、付いて来いよ。俺は仲間とはぐれちまって。仲間探しを手伝ってもらいてぇ。」

「は、はい!私でよければ・・・。」

新しい仲間を加え、大きな間から脱出する。
しばらく経ち、遺跡から出てきた幻道たち。
そとはすっかり夕方。

「できればなぁ、夜が更ける前に街へ行きたいんだがなぁ。」

「そ、それなら北のほうに街がありました。私そこで1泊しましたし・・・。」

「おぉ!ナイス!急ぐぞ、夜になると魔物の時代だからな。」

幻道たちは北の街へ急ぐことにした。





一方、廃墟の学校





釈朱は空を見上げる。
その目はなんとなく、弱弱しい目だった。
ガルベルが不審だと思った。

「おい、釈朱。お前らしくないぞ。」

すると釈朱は我に返ったように、体をビクンとさせる。そして頭を少し掻く。

「うぁ、すまねぇ・・・ちょっと眠かった。」

ガルベルは無表情をまた保つ。
机には黒マントを被った集団が、下を俯いている。

そして釈朱は独り言をボソリと言った。

「アイツ・・・何してっかなぁ・・・。」

その声は、誰にも聞き取れないくらいの声だった。
とても小さな声だった。