ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 狂人の遊び オリキャラ募集中! ( No.76 )
- 日時: 2010/11/29 21:13
- 名前: 月夜の救世主 ◆WABCAFs6Hg (ID: 07JeHVNw)
- 参照: 今日は振り替え休日だぁー!
第27話「緑髪の少女」
黒薙たちは、今お寺の段差に座っている。
あれから、2時間の時がたった。
正直歩きつかれて、田舎の寺にお邪魔している。
だが肝心なお坊さんもいない。
周りはくすのきが囲み、木漏れ日が少し見えるだけ。
気味が悪い。
ただ、なんとなく体が癒される。
やはり、神の力とはこういう力なのかと黒薙は思う。
「はぁ、できればコレが夢であって欲しい。朝起きれば、鳥のさえずりが聞こえてきそうだよ。」
雪砂はダァと横になる。
黒薙はうなずく。
「だけど、ほっぺつねってみな。痛いだろ?これは夢じゃないんだ。」
雪砂は「はぁー」とため息をつく。
確かに、いつ敵が来るか解からない状況にいつまでもいれるわけない。早く、こんな苦痛から出て行きたいとこである。
すると、いきなり楠木に止まっていた鳥がピィピィいいながら飛び去って行く。
雪砂は鴉の鳴き声を察知する。
「なんて言ってるんだい、雪砂。」
「ヤバイって。ヤバイのが来るって。」
すると、楠木の奥から地響きがする。
雪砂と黒薙は各々の武器を取り、構える。
「うおぉぉぉぉ!!貴様ら、ここで何をしてるかぁ!!」
般若の仮面を被り、歌舞伎の衣装のような服を着た大きな妖怪が現れた。
黒薙は、頭の知識の引き出しから情報を取り出す。
「コイツは、顔とそのまんまの名前さ。」
「え、ってことは『般若』っていう妖怪?」
「あぁ、そうさ。どうやらここはコイツの住処だったわけだね・・・。」
般若は足をじたばたし怒る。
「勝手に人の住処に来るとは、礼儀も無い奴らめ!わしが食ってやろう!!」
そういうと、般若は背中のつけてあった長刀を取り出し振り回す。木々は斬られ、バサバサいいながら倒れていく。
黒薙は、魔法を唱える。
すると、ピタリと般若の体は止まる。
「んぐぅ!?なんじゃ、これはぁ!」
「ふっふっふ・・・。甘いね。アタシたちをタダの女と思ってないだろうね?」
そういうと、後から雪砂が鴉羽を振り上げ襲い掛かる。斬れたが少し切ったぐらいの傷の浅さだった。
「かったーい!なんちゅう体つきしてんの!?」
「フンッ!わしの体はほぼ筋肉じゃ!!さぁ、行け!わしは怒ったぞ、餓鬼ども蹴散らせぃ!」
すると茂みから多数の餓鬼が飛び出してきた。
奇妙な鳴き声をあげ、黒薙たちに襲い掛かる。
黒薙の魔法が溶け、自由になった般若は怒りを黒薙たちにぶつける。
長刀の先は地面に突きつけられ、地割れが起こる。
「くわわわ!相手がデカイし、多いし!」
「チッ!ここで死にたくないよ!」
般若は大笑いをし、最後の一撃を食らわそうと長刀を振り上げた。その時・・・。
一瞬で般若の腹部に血飛沫が飛び、般若はよろめく。
「うおおっ・・・何奴だぁ?」
緑色のポニーテールがヒラリと靡く。
そして少し血が付いたナイフがキラリと光る。
そう、坂下 狢だ。
黒薙は笑いを見せた。
「さ、坂下ぁ!生きてたの?!」
「黒薙さん、今はお静かに。般若は気が荒くてね。さて、般若さん。このままズタズタに切り裂きましょうか?」
般若はおびえた様子でしりもちをつく。
「わ、わかった!もう危害を加えん!わ、わしは帰る!!」
そういって、餓鬼を引きつれ帰っていった。
坂下はナイフを直す。
黒薙は坂下に駆け寄る。
「アンタ、どうしてここに・・・。」
「私、本部が爆発してから死んだと思ってたんです。ですが、いつの間にか知らないおじいさんの家に来てたんです。なんか、赤い髪の男の子がボロボロになって「助けてやってくれ」と言って私ともう1人の男の子を置いて、何処かへ行ってしまったと聞きましたが。」
黒薙と雪砂は顔を見合わせた。
まさかと思ったのだ。
赤い髪といえば、アイツしかなかったのだ。
零だ。
そしてもう1人の男の子は幻道だ。
黒薙は坂下に顔を近づけて聞く。
「今、浅村は何処にいる!?」
「わかりません。ただおじいさんは私が出るときにこういうことを言ってましたね。『わしはあんたらが来ることを事前に知っていたよ。またいつかわしはあんたらと会う日が来るようじゃの。』と意味深なことを言ってました。」
黒薙は頭に手を当て、考える。
「そのおじいさん、ただもんじゃない。先のこと、過去のこと・・・全部見えてる。そう感じるよ。まぁ、とにかく浅村は無事なんだね?」
「恐らく。」
「よし、悪いけど予定変更。浅村を保護するよ。ボロボロだったんだろ?じゃあ急がないと。釈朱に襲われるかもしれない。」
「そうですね。急ぎましょう。」
黒薙たちは寺を後にした。
零を見つけ出すために、歩く。