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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Return Days ( No.10 )
- 日時: 2010/11/15 13:30
- 名前: 遮犬 (ID: pD1ETejM)
僕は歩いた。ずっと、遠くまで。
いくら歩こうが、生き物は見つからない。
ここにあるのは、曇った空と、静かにゆっくりと降る雪。そして枯れた木たち。
どうして僕はこの世界に生まれたんだろう。
——はぁ。
一つ、ため息を吐いてみる。
白い息が見えて、生きているんだと実感する。
でも、一人。
何故だか寂しかった。
これでいいと、そう、思っていたはずなのに。
——何故だか、何故だか、涙が零れるんだ。
雪はやまない。
そして、僕の目から流れ落ちる雫もまた、やまない。
——そうだ。
僕はあることを思いついた。それはとっても素敵なこと。
——お友達を作ろう。たくさん。
僕は唯一、この世界にあるといえる雪を手のひらいっぱいに掬い取り、できるだけ大きな玉を作る。
——よし、これで…
大きな玉が作れたと思ったら、すぐに壊れた。
——そうだよね、簡単にはお友達、作れないもんね。
僕は必死に、丁寧に、大きな玉を作り始めた。
——出来た。
僕の目の前には、自分の身長の半分ぐらいの雪だるまがいる。
——えへへ。
なんだか嬉しくなった。
木の枝で作られた目や、手が何だか愛らしく思えた。
—— 一人じゃないんだ。
そう思えただけで、どれほど楽になったことか。
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