ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 廃街のマリオネット ( No.1 )
日時: 2010/10/31 15:26
名前: シンダチ (ID: 6xDqgJhK)

〜プロローグ〜


ホテルの一室
僕はベッドに腰掛け、時計を気にしている
ベッドには女が一人、下着姿で寝ている
美しい女。その整った顔を指でなぞる
ただ美しい。でも今の俺にとっては商売道具
美しい芸術品。スーパーで売られている野菜

「よぉ、女を引き取りに来たぜ」

いつのまにかドアのそばに小太りの男が立っている

「いらっしゃい」
僕は小さく答えた

男は「ふへへ」と笑い、寝ている女の肩を抱いて言う
「いつもよくもこんな上級の女を連れてくるな」

「褒めてくれなくていい。金だ」

男は財布をこっちに投げてよこし
「グ〇チだ。偽物なんかじゃないぜ?」

「金は入ってるのか?」

「確かめろよ」

確かめなくても感触で、臭いでわかる。金の感触、金の臭い

「まいどあり」
僕は小さく言う

「お前はこれからどうすんだ?」
男は不快な笑いをしながら言う
「シャワーを浴びて、帰る。もう一仕事あるんだ」
僕はできるだけそっけなく答える
男はまた不快な笑いをし
「そうかせっかく使わせてやろうと思ったのに」

「遠慮しておく。商品がキズものになったらそれは困るんじゃないか?」

男は笑いながら
「少しくらいバレやしねえさ。俺は使わせていただく」

僕はそれを聞き流し、ユニットバスへ向かいドアを閉めた。女の短い悲鳴が聞こえる

「さあ、もう一仕事だ」
男に聞こえないようにつぶやいた