ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 廃街のマリオネット オリキャラ募集中! ( No.17 )
日時: 2010/11/02 20:04
名前: シンダチ (ID: 6xDqgJhK)

一話(3) (結構長いと思います)


屋上はかなり冷え込む

俺は黒いコートを着込んでいるが震えが止まらない。しかしこの震えは寒さだけのせいだけではないだろう

目の前に立つ子供、「鉄芯の花」
自分と10歳くらい違う。しかしそんな子供に身震いしてしまう。

深呼吸する暇もない。一瞬でも気を抜けば相手が持っている鉄パイプでタコ殴りにされそうだ
落ち付け、相手は子供。
震えを無理やり止まらせる。

「いくぞ!」
得物のナタを構え、一直線に相手との距離を詰める。ねらうは鉄パイプを持つ右腕。肩に向かってナタを振りおろす

それを子供はひらりとかわす。思ったよりもずっと速い。だが
「まだまだ甘い!」
すばやくナタを返し右のわき腹をえぐるようにねらう
しかしそれをかわし距離をとられる

「なかなかすばやいな」
額から汗が流れる。
「大人げないがちょっとだけ本気を出させてもらう」
俺は相手の額に神経を集中させる

「じゃあ俺も能力、使わせてもらうよ」

次の瞬間、相手の姿が消え、腹部に痛みが走る
「ぬあっ!」
俺の体は宙を舞い、背中から叩きつけられる
見えなかった。いや、そんなことはどうだっていい
「心が読めない……だと!?」
俺の能力は心を読む能力、確かに使ったはずだ。だが心の中が見えない。この感覚は久しぶりだ。最高に屈辱的な感覚

「俺の心を読むことは出来ない、俺の心はシャットダウンされてるんだよ」

相手に腹をけり上げられる。吐き気を覚えながら、俺は屋上の柵まで転がる。

カランカランと鉄パイプを引きずって奴は歩いてくる。まったく、悪趣味な死の鐘だな。死ぬ気はないけど

奴は俺の前までゆっくりと歩いてきて、にやりとし吐き捨てた

「死ね、人間め!」

鉄パイプを振りおろす

「ったく、死ぬ気は無いっての!」
コートの中から殺虫剤を取り出し顔めがけて噴射する
「っ!なにする!」

相手は少しひるみ、一、二歩あとずさった。それだけの時間があれば上等だ

俺は屋上の柵に飛び乗り、こう言ってやった

「まだまだ詰めが甘いぜ?じゃあな!また会う日まで!」

そう言って俺は屋上から飛び降りる。俺の眼にはこちらを見下ろす「鉄芯の花」とかすんだ星空が見えた