ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 「そして魔女は宴をひらく」 ( No.2 )
日時: 2010/11/04 00:21
名前: *銀* (ID: ia9Umcvq)

「…、ここ、どこ」

一面、真っ白な世界に私はいた。どこを見ても、真っ

白なこの世界は、私を圧倒させた。

「てか…なんで、こんな所に私が…?」

頭をひねるが、何も分からない。私は確かに、自分の

部屋にいて、眠りについたはずだ。

「あ、じゃあコレ夢か」

納得すると同時に私は、ほっぺたをつねってみた。

…アレ?結構痛いんだけど。アレ?夢って痛みも伴う

の?

涙目になってきたのでほっぺたをつねるのをやめた。

ジンジンとした痛みがゆっくりと、顔全体に広がっ

た。

「夢…じゃない?」

つぶやいた私は、上を見上げた。

「だ、誰か!いないの!?」

ほとんど叫ぶように私は言った。しかし、声が響くだ

けで、何も起こらない。

「どうしよう…」

私は絶望的に言った。と、その時—————

『あーーーー!!やっと、見つけましたァァァ!!!』

「え」

どこからともなく、声が響いたかと思うと、上から

人が降ってきた。

ぶつかるっ!!?

私は、反射的に目を閉じた。が、痛みも何も起こらな

かったので、おそるおそる目を開けた。

目の前に、上から落ちてきたと思われる女性がいた。

『はじめまして!私はミルーと申します。今回は、失

礼ながら、あなたの頭の中に入らせて頂きました』

ミルーと名乗る女は、(私から見れば)とてもおかしな

格好をしていた。

ヨーロッパの貴族が着るような豪華な、金色に輝くド

レスを彼女は着ていた。髪の色も金色で、長い腰まで

あるストレートの髪は風も吹いていないのに、彼女が

動くたびにサラサラしていた。瞳は驚くほどに澄んだ

ブルーの色で、私は瞳の中に吸い込まれそうになる錯

覚がした。

「私に何の用?」

ミルーは二コリと笑うと、一つの鍵を私に差し出し

た。

『受け取ってくださいませ。あなたは選ばれたので

す』

「は?」

何を言っているのか分からず、思わずアホみたいな声

を出した。

『だから、あなたは選ばれたのですよ!今世紀の魔女

の宴に』

「ま、魔女?……フフ、アハハハッハハ!」

『?何がおかしいんですの?』

ミルーは突然笑い出した私を見つめた。

「だ、だって、魔女って…フフフ、ありえないでし

ょ!」

『魔女はいますわ、ここに』

「あんたがその魔女ってこと?アハハ!傑作だわ」

『いえ、私だけじゃありません、あなたもです。

林野魔夜様』

ミルーは微笑みながら言った。

「…は?何を言ってるの?私が魔女?」

『ええ、そうですわ。あなたは魔女なのです』

そう言うとミルーは、私に鍵を無理やり、握らせた。

『すぐに、分かりますわ…自分がどんなものか…』

ミルーはそう言うと、霧のように消えた。

「ど、どうなって…」

私はミルーに渡された鍵を見つめた。手に収まるほど

小さくて、金色一色の鍵だった。特におかしいと思わ

れる点は無かった。

すると、突然鍵が私の手の中で輝きだした。

「え、なに?」

その輝きはだんだんと大きくなっていき、ついに私を

飲み込んだ。

そこで私の意識はプッツンとなくなった。