ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 炯々とした太陽は黒く染まる ( No.3 )
日時: 2010/11/02 23:00
名前: 黎龍 ◆RMw3.cMGUE (ID: dBCG1FA1)
参照: http://plaza.rakuten.co.jp/k2naduki0623/diary/201010300000/

第一話 [簡単に散る華ほど、棘が多い]


ヒュウウウ....

一月 十日 午後8時 7分

暗い夜をただ徘徊するのは、背の高いベレー帽を被り、茶色いコートに身を包んだ男。
見た限り、怪しい人にしか見えないだろう。
傍から見てて、【近寄るな】と言わんばかりのオーラを漂わせている。
何分か立った後,目の前に見えたのは果して何だっただろうか。
胸を真赤な紅に染める兵士達の倒れる姿があった。
この背の高い男に殺められた兵士の姿を見ていると吐き気を催してくる。
頑張って邀撃したのか、手には空の薬莢が入れられた機関銃が握られている。
成れの果てを二分か見た後、後ろに顔を向けた。
この兵士の家族がこの光景を見たらどうなるだろうか。

すすり泣いて、兵士の体をそっと触り、
眼から流れ出る涙を、ハンカチでただ押さえるだろう。

その姿を頭に浮かべると、何やら同情なのか否か。
悲しい気分が湧き出てきた。

——そんな事はどうでもいい。
あの背の高い男の正体をつき求めなきゃいけない。

それが今の俺の使命。

そう心の中で誓い、背の高い男が歩いた方向に足を動かした