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九話「悪食女王」

「……。不思議な奴だ。愚かな人間ほど美味と言うのに」
聖は大広間から出て行き、どこかへ行ってしまった。

「さあ、気を取り直して……。次はアリスの母親の腸にアリスの母親の肉を詰め込んだソーセージ入りのスープ」
誰も凄い勢いで食べつくす。
「アリスの母親の顔の皮で包んだスズキのパイ包み焼き」
「アリスの母親の腕をパン代わりに、アリスの母親の足を挟んだサンドイッチ」
「アリスの母親の骨ごと焼いた骨付き肉」

「さぁ、最後にデザート。アリスの母親の臓物を使ったケーキにクッキー、そしてパフェ。
　アリスの母親の目玉を使ったキャンディー。耳を使ったマカロン」
大量に並んだ食事は一気になくなる。

「やはり、欲深い人間は美味しい」
白いナプキンで口を拭く小百合。
「その上アリカ様が調理なさるからどれも斬新」
食器を下げる手伝いをする歌音。
「久々に美味しい食事だった」
同じく手伝う鈴音。
「だぁい好きなママがお腹の中にいるなんて……。キヒヒッ!!!」
狂ったように笑うのはアリス。
「あー、お腹いっぱーいww」
満足そうな笑みを浮かべるのは理。

「(コイツ等 信じられねぇ……!!)」
帰りてぇ。こんなの生き地獄だ。人間界で大人しく牢屋に入ってた方が幸せだ……。