ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

拾話「ニゲミチ」

「俺はこんな世界嫌だ。人間界に戻る」
「……ほう」
「例え惨殺犯と言われて嫌われようとも、牢屋で罪を償って、その方が立派になれる!」
「……」
「魔界なんかにいたら腐っちまう!!」
「そこまで言うならよかろう。人間界へ戻り、魔界の尊さを身を持って知るがいい」
指先から黄金の光を出し、その光で聖の身体を包む。
「……俺は、もう2度と戻ってこねぇ」
「ふっ、期待しないで待っていよう」

黄金の光に包まれた俺は、魔界から消えた。

人間界に戻った途端、俺の手には手錠。裁判をしていた。
「……よって、紺野 聖は死刑とする」
「へっ……?」
何だよ、いきなり死刑宣告……?

「ねぇ、アリ。アイツを人間界に戻したらさ、僕が暇なんだけど」
「ふっ、必ず戻ってくるさ」
「ふぅん?」
「罪を償うだぁ? 己の甘さを知るんだな。あんな殺人犯してりゃぁ死刑だよ、死刑!」
「あっ、そっか」
ふぅん、そっか。死ぬんだ、アイツ。

「ぎひゃひゃひゃひゃひゃっ!!」

頑丈な牢屋の中、冷たい床と壁。真っ白で古臭いベッド。
「……そうだよな、あんなことしてりゃ死刑だよな」
魔界にいれば、死なずに済んだのか……。

「だっ、だめだ。もう魔界に逃げたりしねぇ」