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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: かごのとり。(コメ・アドバイスくださいっ!!) ( No.31 )
- 日時: 2010/11/04 16:08
- 名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: OPVNjM8g)
拾壱話「トキ」
「やっほーww 元気してるー?」
「理!? なんでここに……?」
牢屋の扉は開くわけない。どこから入ってきたのか。
「あははっ、たかが牢屋に魔人は拒めないよ」
最初はそう笑っていたが、俺の隣に座って真顔になる。
「ねえ、魔界に戻ってこよう? そうすれば聖の人間界の“トキ”は止まる」
「……?」
「今の魔界には聖がいない。そして、今の人間界には聖がいる。
もし聖が魔界に戻るなら、人間界の聖は消える。死刑も免れるよ?」
「俺はもう魔界に戻らねぇ。死んで当たり前だ、俺みたいな最低な人間……」
暫く魔界にいたせいか、誰をどんな理由で殺したかは覚えていない。
でも、裁判長が言っていた“極めて身勝手で残酷な殺人”そんなことすりゃぁ死刑になって当然だ。
「ふぅん。じゃ、バイバイ」
そして、牢屋から消えた理。俺は幻でも見ていた気分だ。
「で、どうだった?」
「落ちるよ、あと一押しだ。絶対に落ちる」
「ほう、随分と自信があるな?」
「そりゃぁね。だって僕は“聖の理性を除いた感情”を見れるんだから」
声には出さなかったけど、聖の口から“魔界に帰りたい”ってダラダラこぼれてた。
「くふふっ、さすが鏡族」
「歌音、聖の処刑日は?」
「はい。2068年の3月25日です」
「一週間後……。それだけ時間があれば必ず落ちる」
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