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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: かごのとり。(コメ・アドバイスくださいっ!!) ( No.32 )
- 日時: 2010/11/04 16:22
- 名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: OPVNjM8g)
拾弐話「穢れ」
「無様ね」
「小百合……」
今日現れたのは小百合。
「貴方って本当に馬鹿。魔界にいれば永遠の安息が手に入るのよ」
「確かに魔界には俺みたいな人殺しが溢れてる。でも、アイツ等は人殺しは悪い事って解ってねぇ。だから別にいい。
でも俺は……。人殺しは悪だって知ってるから、悪を隠して生き続けるなんて、そんな嘘は吐けねぇ」
だって、本当の俺を捨てて、もう一人の“俺”として生きるなんてできねぇだろ? 少なくとも、俺には無理だ。
「だから貴方は馬鹿なのよ。馬鹿素直。自分に嘘を吐くなんて簡単よ」
「俺にはできねぇ。本当の俺を隠してもう一人の俺として生きてくなんて……」
「綺麗事は嫌い」
そう言って消えてしまった。
「今の俺は本当の俺? 本当の俺は嘘吐きで、馬鹿で……」
じゃあ、今牢屋にいる俺は本当の俺じゃない?
俺は誰だ。俺は何だ。俺は何を思ってる。本当の俺を隠している?
「ははっ……。はははっ、あはははははっ!!!!」
バカバカしい。全部バカバカしい。
「うああぁぁぁぁっ!!!!!」
冷酷な考えが頭をよぎった後、俺は鉄格子を握って狂ったように笑いながら鉄格子を揺すった。
強く握りすぎて手からは血が流れた。
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