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Re: かごのとり。(コメ・アドバイスくださいっ!!) ( No.34 )
日時: 2010/11/04 16:57
名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: OPVNjM8g)

拾四話「堕落するときは」

「聖様。調子はどうでしょう?」
「鈴音まで……」
今まで話など十分にしたことのない鈴音まで……。

「僕は、姉さんのことを堕天使呼ばわりした神を殺しました。そして、天使が受ける最高の罰、堕天使になりました。
 僕は魔界でも姉さんを襲おうとした猩々に似た魔族を殺しました。でも、何の罪にも問われない」
「……」
鈴音……。
「その時思ったんです。“魔界では自分が神。神のように自分のやりたいことをやり通しても、悪ではない”と」
「悪……」
「そうです。最初は何と愚かしいと思いました。
 ですが、次第にその愚かさに溺れた……。愚かというのは楽です」
「楽……」
俺はもう魔界に戻らないと決めた。なのに、なぜこんなに心が揺れる……?

「戻ってきたければ、心の中で“我が身を魔界へと誘う黄金の光よ 我が身を包み 愚かしい楽園へと導かん”と3度唱えて下さい。そうすれば……」
「……」
俺の目を見て言う。俺はとっさに目をそらした。
「では、僕はこれで失礼します」

「(我が身を魔界へと誘……)」
そこまで心の中で言うと、善の俺が芽生える。
「ダメだ、俺は死んでも罪を償う」
でも、そこで悪の俺が邪魔をする。

俺は、鉄格子がもげそうな勢いで鉄格子を揺すった。