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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: かごのとり。(コメ・アドバイスくださいっ!!) ( No.37 )
- 日時: 2010/11/04 21:32
- 名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: OPVNjM8g)
拾七話「おかえりなさい」
「……魔界に帰りたい……」
これが、俺の最期の言葉。民衆の中にアリカはいたが、俺の願いを叶えてくれなかった。
だから、俺はこんな真っ暗な所にいる。
(───なんだ、死んでも天国も地獄もねぇじゃん)
ただ真っ暗で、自分がただ独りポツンと佇んでいる。
光の一点もなく、ただただ続く暗闇。
(あははっ、あははははっ!!! ひひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!)
静かな暗闇をつんざく高笑い。アリカのものではなかった。
(───!!)
そこには、血まみれでゴロンと転がった死体。
人間の原形は留めていなくて、かろうじて残った右目が俺を睨む。
(なぁんだ、アンタ死んでないじゃん)
「……んっ」
「目覚めたか? 風呂を入れてある。入ってこい」
「……あぁ、俺、地獄にきたんだ」
アリカがいるなんて地獄だよな。アリカがいるんだからよ……。んぁ?
「馬鹿? ここは魔界よ」
決め台詞の馬鹿を浴びせたのは小百合。
「お帰りなさい、聖様」
優しい笑顔の歌音。
「お帰りなさいませ」
いつものようにベレー帽を脱いで深々と頭を下げる鈴音。
「おっかえりーww」
いつものようにイラっとする喋り方の理。
「おかえりなさい!」
嬉しそうな笑顔で俺に抱きついてきたのはアリス。
「俺、生きてる……?」
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