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Re: かごのとり。(第弐弾開始!!) ( No.55 )
日時: 2010/11/06 09:03
名前: 鏖 ◆TeAoSh7Hf6 (ID: OPVNjM8g)

伍話「貴方を迎える者がある」

「今晩じゃぞ? 魔界の美女を攫うのは」
「解っております。なんでも肌は玉のように美しく、美貌は華のようだとか」
「そうじゃ! がっはっはっはっ!!」
魔界で一番……。いや、天界、人間界にもあんな美女はおらん!!
そんな女がわしのものになるなら、わしはどんな手でも使う!

「アリカ、不安か?」
「いいえ。どうかお気遣いなく」
ディア様は、今晩は離れずに行動するのが最良の選択と仰っていた。
「お前、俺がいないとき……」
「あっ、あー……」
ヤバ……。やっぱり調子に乗りすぎたか?
「よく魔界を治められたな。それと、あの晩餐」
「あの、その、何て言うか……。すみません、これからは自重します」
「俺がいねぇ時にあんなに楽しむなよ。今度は俺も交ぜろよ、いいな?」
胸の肉と腹の肉を使ったビーフシチューは食ってみてぇ。
「……はい」
怒っておられるのかそうでないのか、よくわからないが……。

ガタッ……と、その時、窓の外で音がした。

「……」
二人は戦闘態勢になる。ディアはアリカを庇うように、アリカの前に立つ。

ガシャッ!と窓ガラスを割って槍が飛んでくる。ディアはその槍を結界で防ぐ。
耐えられなくなったのか、槍は人間に姿を変える。

その時、アリカが手にした短剣が槍人間の心臓を突く。

二人の寝室は、血の海だった。