ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ= “無能力者” ( No.102 )
- 日時: 2010/12/03 23:49
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
湖に落ちると、直ぐにA-01の牙がクラウンの肩に突き刺さった。 首と胴体を斬り離さなかったのは失敗だった、噛み付かれて頭に繋がっている奴の体の所為でどんどん沈む。
こんなにこいつらの体が重いとは思わなかった、まさかの計算外だ。
息が続かない、手足も冷たくなってきたな。意識が……遠のく——…。
しばらくして、手足の感覚が戻ってきた。 空気に触れて、座りなれた椅子の上に座っている。
多分、事務所の椅子だ。
瞼を開くと、辺りは真っ暗だ。 明りをつけないと。
いや、だがその前に、……何故、今事務所に居る? 溺れたんじゃなかったのか……?
不意に、明りがついて周囲を照らした。 やはり、事務所の椅子で、明りを点けたのは……ボク?
椅子に座っているボクに、ボクが近づいてくる。 ……夢?
「夢じゃない、ここは現実だ。 君はここが何処に見える?」
「事務所」
自分が話しかけてきたことに驚きながらもクラウンはあわてずに答える。 何処に見える? という質問に不信感を抱きながらも、攻撃する気にはならなかった。 相手がそうさせているのだろうか?
「で、君には此処が何処に見えるって言うの?」
「んー。俺には紅い大きな塔が君の後ろに見えて、君は恐らく事務所の椅子にでも腰掛けているつもりだろうが、俺からは死体の山の一つにもたれかかってるように見える」
予想だにしない答えにクラウンは驚く方法が以外なかった。 ボクは椅子に座っているのに、死体の山だって !?
クラウンの顔が引きつった笑に変わる。
そうだ、多分ボクは一回死んだんだ。 きっとここはあの世で、コイツはボクの姿を借りている閻魔大王様って所だろうな、多分。
自分の中でワケのわからない理由に納得し、
「で、その死体の山の中にボクも加わるの? 死んだんだし」
クラウンの発した言葉に苦笑いする。 どうも考えがよく読めない、ボクもこんなんなのかな……?
そいつはしばらく頭を抱え込み、
「まさか、君を殺したら俺が死ぬ。 そんな事やりたくても出来ねえよ、実際は殺してぇけど。 俺は君で君は俺だ、表裏の存在であり、まったく同じ存在なんだからな。 どちらかが生き延びればどちらともの生命活動が持続し、仮に片方が死んでいたとしても生き返る。 そんな存在なんだよ、俺も、君も」