ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 能力者Lvゼロ= “無能力者” ( No.105 )
- 日時: 2010/12/05 12:17
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
クラウンが拉致されてから二時間後、童子達は既にアジトに到着し、あろうことかたった一人の救出のために三百人近い精鋭部隊を動かそうとしていた。 それを今現在、シェリーが思い止まる様に説得している。 なんでも、自分の殺した仲間の時と今の雰囲気が似ているが故にそこまでしようとしているらしい。
まったく、どういうどういった感覚をしているのやら、シェリーはおろか、周囲の幹部達ですら理解に苦しんでいた。
だが、童子の判断がこれまで一度も間違った事などなく、それも押し通しかねない勢いだ。
その会議中に、事は起こった。 まあ、大したことじゃなかったけども。
突如轟音を轟かせ、会議室の重たい扉が無理に開かれる。 開いたのは鳳 麻記那だ。 なにやら、不機嫌そうな顔をしている。
そして、
「私の買い溜めしてたチョコレート食べたの誰よ? 今なら3/4殺しで勘弁してあげるから正直に名乗り出て!」
麻記那は半ば怒鳴り気味で絶叫する。
いやいやいや、3/4殺しって、殆んど死んでると思うのだが……。 大体の団員は呆れたように麻記那を待機室に戻そうとしていたが、童子は、
「チョコレートだろ? そんなもの喰うのは誰だか知れてる、ヒントは上の階。 んじゃ、頑張って探せ、俺は会議があるから今からしばらくは面会無理だからヨロシク」
あろうことかその言葉だけで怒り狂っていた麻記那を会議室から追い出したのだ。 しかし、チョコレートでそこまで怒るのも珍しい。
直後、童子の瞳の色が紅く変化した。 何時何色に変化していたのかは分からないが、確かに紅くなった。
その直後、童子はその場から立ち上がり、シェリーを呼びつけて会議室を出た。
今まで離れた席に座っていたから分からなかったが、童子から甘い臭い……? チョコレート臭がする、コイツが犯人か……!
会議室を出るとすぐに、ロッカールームの前で童子は立ち止まった。 この展開は少年誌などではよく規制されるあのパターン一直線のフラグだが、今回は違うらしい。
童子はポケットを探ると、ダイアルの付いた不思議な形の鍵を取り出し、カチカチとダイアルを回し、ロッカールームの鍵が閉まっていることを確認すると鍵を差し込んでノブを回した。
扉の向こう側の世界にシェリーは絶句する。
ここは最上階ではなかった、最上階ではないのに、何故屋上へ……?
「この鍵は特別なものでね、扉と扉をつなぐ鍵だ」