ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 能力者Lvゼロ= “無能力者”      ( No.108 )
日時: 2010/12/05 16:07
名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)

「この鍵を使えば、追っ手などを一瞬で撒く事ができる。だが、この鍵の効力を知られてしまえばそれまでだ、他言はするな、いいな? さて、俺の計画を話そう。おれはただコイツに乗って適当に飛び回る。恐らく幹部共は俺が勝手に捜索に行ったと思い込み、こっちを追ってくる」

童子はポケットからカラフルなサイコロをいくつか出すと、空中に浮かべてシェリーに説明をはじめた。 どうやら、本気で事を起こすつもりらしいのだが、目が明らかに楽しんでいる。
童子の出した紅いサイコロが黒いサイコロに追われる様に並んで飛んでいる。 それを確認すると、片手で持っていた黄色いサイコロを手の平からふわふわと飛ばす。

「俺が栄王の馬鹿幹部共に追われている間に、お前はコイツとクラウンの捜索へ行け」

童子が指差した先には、今しがたヘリから降りてきた十五歳くらいの美形少年が詰まらなさそうに黒い運動靴の紐を結びなおしている所だった。 どうやら、彼は童子の信用が相当あるということなのだろう。
ヘリは既にここに来ている状態で童子は鍵を使っている。

「それで、乗り物の話なんだが——…」

その言葉の直後、よくテレビなどで聞くフォンフォンという聞きなれないあの音、UFOの音独特のが辺りを騒がせる。 上空を眺めると、鉄とは違う金属光沢に、直径約12m程の円盤型、期待を裏切らない形のそれはビルの屋上の真上に浮いていた。 影が無い。
それを待っていたかのように童子は降りる所にレーザーポインターで印を映す。 
半ば呆れ気味でシェリーは、

「何で……UFO?」

驚く前に、何故ここで? という気持ちが勝ったらしい、シェリーの顔は明らかに呆れていた。
それを無視し、

「さて、カイト! 今の所こいつの運転が出来るのはお前だけだ、この譲ちゃん連れてティードとここの間にある湖へ行って捜索してくれ。 検索機能使えば多分一発だ。 こいつは俺が学生時代に造った奴でね、亜音速飛行と、視認的ステルス機能が付いてる。 栄王のヘリのソナーじゃないと物体として見つからないし、飛んでいるところを見られる心配も無い」

その言葉の直後、カイトはためらい無くUFOの扉を触れずに開くとシェリーを中へ呼ぶ。

「楽しい任務じゃないと俺にはキツイな、面倒な任務はやっぱやだし。 さて、シェリーって言ったっけ? 世界を変える存在を助けに行こうじゃんか。 ここに居る連中は世界に振り回されるのは性にあわない奴ばっかりでさ、世界は振り回すからこそ楽しい」

その言葉と共に、シェリーが乗り込んだのを確認すると童子はヘリに乗り込んでビルの屋上から飛び立った。 しばらくして、栄王のヘリが童子の乗ったヘリを追っていくのを眺めた後、UFOは地面から少しづつ浮き上がって湖へと飛んだ。